韓国政府の具潤哲(ク・ユンチョル)国務調整室長は25日、東京電力福島第一原発事故により毎日増え続ける放射性物質汚染水のALPS処理水を原発沖合1キロの海洋に放出する方針を日本政府が示していることに「最も近い隣国政府との事前協議も、了承も得ないで(海洋放出の方向へ)進めているのは遺憾」と遺憾の意を表明した。
韓国聯合ニュースによると、具氏は「一方的な汚染水の海洋放出推進を直ちに中断し、隣国と十分な協議と意思疎通を先に行うことが、責任ある国際社会の一員としての望ましい姿勢」と語った伝え、具氏が日本の姿勢を痛烈にけん制し、意思疎通を図る努力を続けていく中で判断していくべきこととの姿勢を鮮明にした。
海洋放出に対しては日本の環境団体の連合組織・グリーン連合も強い懸念を示し、反対している。グリーン連合は「日本政府はトリチウムの安全性を強調しているが、汚染水には通常の原発からの排水と異なり、トリチウムのみならず、ヨウ素129、ルテニウム106、ストロンチウム90などの放射性物質が基準を超えて残存していることが明らかになっている」と指摘。
また「タンクに貯められている水の約7割でトリチウム以外の62の放射性核種の濃度が全体として排出基準を上回っており、最大で基準の2万倍になっている。政府は基準に適合するように2次処理をした上で希釈して放出するとしているが、処理・希釈しても62核種が排出されることは変わらず、これにより、海洋を汚染し、食物連鎖を介して人の健康や生態系に悪影響を及ぼす恐れがあることは否定できない」と海洋放出への方針には強く抗議している。
また「トリチウムについても、安全性について懸念を表する専門家もおり、決して安全性が保証されている訳ではない」とし「希釈しても排出総量(約2000兆ベクレル)は変わらず、年間22兆ベクレルの放出量は事故前の放出量(年間1.5~2.5兆ベクレル)の約10倍。それが数十年にわたって続けば海洋生態系に及ぼす影響は無視できる量ではない」と強く警鐘を鳴らしている。(編集担当:森高龍二)