菅義偉総理は25日の記者会見でアフガニスタン情勢について「緊迫した状況が続いている」としたうえで「まず在留邦人と大使館の現地職員などの安全な出国を最優先とし、既に現地に派遣した自衛隊機を活用しながら、しっかり対応していく」と強調した。
そのうえで「アフガニスタンが再びテロの温床になることを食い止め、現地で続く人道上の危機を回避し、女性などの権利を守っていくために、G7を含む関係国と緊密に連携していく。地政学上も要衝に位置するアフガニスタンの安定と復興は我が国の国益にも深く関わっている。現地情勢とそれを取り巻く動向を見極めつつ、戦略的に取り組んでいく」との考えを示した。
日本政府はイスラム原理主義組織のタリバンによる政権が2001年に崩壊し、アフガニスタン・イスラム共和国発足以来、今回のガニー政権崩壊までの間に約7000億円の支援を行ってきた。
菅総理は日本に来るアフガニスタン人にかかる今後の対応について「状況次第でアフガニスタンからの難民の方々を日本に受け入れるという考えはあるか」との記者団の問いに「関係国ともしっかり連携した上で、それぞれ置かれている状況も配慮しながら対応していきたい」と述べた。
タリバンの広報担当者は8月17日、記者会見で「女性の権利も尊重していく」としたが、イスラム法の範囲内での話であるため、タリバンによるイスラム法の解釈次第で、女性の「人権」が尊重されていくのか、懸念する声が大きい。特に教育、仕事、結婚などへの女性へのタリバンの対応は世界が注視し続けなければならない。
戦場のカメラマン・渡部陽一氏はツイッターで25日「全権を掌握したイスラム組織タリバン。反タリバンを掲げ武装蜂起した元政府軍への総攻撃を開始」と発信するとともに「厳格なイスラム思想に沿った女性や子供たちへの締め付け、米軍協力者の捜索が拡大」とし「かつての残虐なタリバン政治体制再興の懸念」と女性や子どもたちへの人権への圧に強い懸念を示している。(編集担当:森高龍二)