島根原発有事の際の46万人避難計画まとまる

2021年09月09日 06:56

 県庁所在地の島根県松江市にある中国電力島根原発が緊急事態に見舞われた際、原発から30キロ圏内に住む島根、鳥取の46万人が避難することになるが、その避難計画について、菅義偉総理は7日の原子力防災会議で「46万人の人口を抱えており、避難経路の確保や他県にまたがる広域的な避難など、地域固有の課題に対応していく必要があるなかで避難計画をまとめていただいた島根、鳥取を始めとする自治体、関係機関の御協力に感謝申し上げる」と述べた。

 菅総理は「万が一の事態が発生した場合にも、国が国民の命と財産を守る重大な責務を負っている。関係自治体、事業者と緊密に連携し、訓練などを通じて、この計画を継続的に検証、改善していくことが重要。関係大臣は感染症対策もしっかり考え、実動組織による支援を強化するなど、避難を円滑に進める施策を実行するようにお願いしたい」と指示した。

 島根原発から5キロ圏内には約9500人が住み、5~30キロ圏内には44万8000人が住んでいる。

 緊急事態時には5キロ圏内の住民は太田市や奥出雲市へ避難。5~30キロ圏内の住民は鳥取、広島、岡山へ避難する予定。そのため、避難先の確保や複数の避難経路の確保、バスや福祉車両など輸送能力の確保、感染症対策の実施、避難経路上の信号制御による「避難誘導システムの導入」などが確保されていなければならない。また4月現在、5キロ圏内の40歳未満の住民約1700人には「安定ヨウ素剤」が配布されているという。

 中国電力は島根原発の1号機については廃炉措置をとるとして、来年度から原子炉本体周辺設備の解体に入り、原子炉本体を30年度~37年度で、38年度~45年度で建物などの解体をする計画。一方で3号機増設や山口県上関町で瀬戸内海に面したところに原発の建設を予定しており、そのための関連工事には2009年に着手したが、東京電力福島第一原発事故を踏まえ、2011年3月から工事は止まっている。再開は未定。(編集担当:森高龍二)