新型コロナの感染経路は当初の接触感染から空気感染(エアロゾル感染)のリスクが主なものであると考えられるようになった。首都圏の勤労者は毎朝、混雑した電車やバスなどの公共交通機関で通勤している。当初から満員電車での感染は懸念されていたが、これまでにクラスター発生という報告はない。仮にクラスターが発生していたとしても、それを確認する手立てがない。駅員などで経路不明の感染が確認されているので電車内の感染が起きている可能性は低くはない。首都圏の勤労者はこうした感染リスクの不安を抱えながら満員電車で通勤しているが、当然、そのようなリスクを考えなくてもよい地方への転職を考えるものも少なくないであろう。
人材会社のみらいワークスが9月上旬、東京都内の従業員500名以上の企業に勤務する1都3県在住の35~65歳の管理職1636名を対象に「地方への就業意識調査」を実施、その結果を24日に公表している。これによれば、東京、大阪、名古屋を除く「地方企業で働くことに興味はあるか」という問いに対して、「興味あり」あるいは「やや興味あり」と答えた者の合計は46.7%と東京勤務の管理職の約半数が地方での勤務に興味を持っているようだ。年代別に見ると、「35~44歳」で44.7%、「45~54歳」が55.2%、「55~65歳」で39.6%と「45~54歳」での関心が最も高くなっており、昨年の同調査より2.1ポイント増加している。
「興味あり」と答えた者に、その原因として新型コロナの影響があるか尋ねた結果では、コロナの影響で地方での就労に対する関心が「とても強くなった」と「強くなった」の合計は33.2%。年代別には、「35~44歳」で43.1%、「45~54歳」が34.7%、「55~65歳」で24.8%となっており、コロナの影響については「35~44歳」で最も多くなっており、昨年調査より1.1ポイントの上昇となっている。
地方の中小企業から経営幹部候補としてのオファーがあった際、「現状の収入より減少しても転職の可能性があるか」どうかを見ると43.4%が収入減少を許容しており、昨年調査より0.7ポイント増加している。内訳を見ると、「現収入の7割に減少」まで許容が10.5%、「8割」は20.7%、「9割」12.2%と8割程度までの減少を許容している者が多い。
調査結果を見ると、かねてから地方就労に興味を持っていたが、コロナ禍で若い年齢層を中心により関心が高まっているようだ。(編集担当:久保田雄城)