青い海に白い雲。本来ならば、夏休みを目前に控えたこの時期は、家族や友人、恋人たちと楽しいレジャー計画を立てている頃だ。まさか、コロナ禍で二年目の夏を迎えることになろうとは……。コロナ前の様に、自由に旅行やレジャーを楽しみたいという世間の欲求はもう、臨界点に達しようとしている。
世界最大級の宿泊予約サイトを運営するブッキング・ドットコムが今年1月から2月にかけ、世界28カ国、約2万8千人(内日本人1千人)を対象にした大規模な意識調査を行っている。その結果によると、日本の旅行者の43%が「移動が制限され、閉じ込められているような気分になった」と回答。また60%もの人がコロナ禍以前よりも旅行の重要性を感じており、なんと71%もの旅行者が「2021年は恋人を見つけるよりも休暇に行きたい」、77%が「仕事やキャリア、昇進よりも旅行を優先する」と答えているという。
では、今の状況で行くとしたら、どんな旅行が望まれているのだろうか。国内の食・観光事業者を支援するためのSNSメディアのジャパンコンシェルジュが今年5月から6月にかけて全国の18歳以上の男女約1000人を対象に行ったインターネット調査によると、コロナ禍の旅行ではやはり感染リスクを下げることが最優先で、共に旅行に行く相手は家族、移動は自家用車、目的地も「自然」が多い場所を選ぶ傾向が強いという結果となった。
そこで今、注目されているのが、これまで海外旅行や有名な観光地などの陰にかくれていた「地方」の魅力だ。
例えば、住宅大手の積水ハウス株式会社<1928>と世界的なホテルチェーンを展開するマリオット・インターナショナルが昨年から共同で展開している地方創生事業「Trip Base(トリップベース)道の
駅プロジェクト」がある。同事業は25道府県の自治体および 42社のパートナー企業と事業連携を行いつつ、「道の駅」を拠点にしたホテル「フェアフィールド・バイ・マリオット」を展開することで、地域の知られざる魅力を渡り歩く旅の提案を行おうとするものだ。すでに栃木県や三重県、和歌山県、京都府など、13のホテルを次々とで開業しているが、8月2日には同プロジェクト14番目の拠点となる宿泊特化型ホテル「フェアフィールド・バイ・マリオット・岐阜高山荘川」を開業する。清流・庄川が近くに流れる豊かな自然と、疲労回復の効能が期待される「ひだ荘川温泉 桜香の湯」。名物の荘川そばも旅行者を楽しませてくれそうだ。8月2日の開業式には、今年度は中止が決まっている飛騨荘川ふるさと祭りの「連獅子」が、観光による地域活性化の願いを込め、規模を縮小して特別に演舞されるという。
また、コロナ禍で生まれた新しい旅行のかたちとして、オンラインツアーも盛況のようだ。自宅に居ながら、ライブ配信で双方向コミュニケーションをとることで、地元の人やガイドさんから穴場の観光スポットやおすすめグルメ情報などを教えてもらえるオンラインツアー。先に紹介したジャパンコンシェルジュの調査結果ではアンケート参加者の約6割が「知っていて参加した事がある」「知っていて興味がある」と回答したという。
コロナ禍はもちろん、ポストコロナの新しい旅の楽しみ方として、感染リスクを下げるオンラインツアや、「Trip Base道の駅プロジェクト」を利用して、自然が多い地方の新たな魅力に触れてみるというスタイルもいいかもしれない。(編集担当:藤原伊織)