京丹波町と積水ハウス、クラダシが食品ロス削減プロジェクトで連携。京丹波の魅力をPR

2021年10月17日 08:54

kuromame

3者連携で、未収穫残となっている京丹波の「黒枝豆」の収穫を支援。フードロス低減を目指す

 世界に誇れる日本人の慎ましやかな精神を表した言葉が存在する。その一つが「MOTTAINAI(もったいない)」だ。ケニア出身の環境保護活動家で環境分野で初めてノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイ氏も、京都議定書関連行事で来日した際、消費削減(リデュース)、再使用(リユース)、再生利用(リサイクル)の3Rと、自然や生産者への尊敬(リスペクト)を一言で表す言葉「MOTTAINAI」に感銘を受け、それ以降、世界共通の言葉として広める活動を行っているという。

 そんな「MOTTAINAI」を具体的なカタチにしたようなプロジェクトが、京都府京丹波町で動き始めた。

 京都府京丹波町と住宅大手の積水ハウス株式会社、そして社会貢献型ショッピングサイト「KURADASHI」を運営する株式会社クラダシの3者は10月8日、「京丹波町における食品ロス削減及び特産品のPRに向けた連携協定」を締結。京丹波町の特産品である黒枝豆の収穫などを背景に、フードロスの削減や関係人口の増加、地域の魅力PRなどを目的とした活動を進めていくことを発表した。

 近年、2015年に国連で採択された持続可能な開発目標「SDGs」への取り組みが盛んにおこなわれるようになってきたが、積水ハウスは、それにさかのぼること約15年前の1999年にはすでに「環境未来計画」を発表。業界でも、いち早く「環境」への取り組みを行ってきた企業だ。

 住宅のほかにも、最近はマリオット・インターナショナルと共に「Trip Base 道の駅プロジェクト」を展開。日本全国に点在する「道の駅」と隣接するホテルを拠点として、「地域の知られざる魅力を渡り歩く」という新たな旅を提案するプロジェクトを推進している。京都府京丹波にも、ちょうど一年前の2020年10月8日に「フェアフィールド・バイ・マリオット・京都京丹波」を開業している。

 一方、クラダシは、賞味期限間近の食品や季節商品、パッケージの汚れやキズなどの、いわゆるワケアリ商品で、食べられるのに通常の流通では販売が困難な商品などを賛同メーカーから協賛価格で買い取り、大幅にディスカウントした価格で消費者へ販売する、日本初・最大級の社会貢献型ショッピングサイト「KURADASHI」を運営している。食品ロスの削減に貢献しているだけでなく、売り上げの一部を環境保護や動物保護の団体、クラダシ基金など、様々な社会貢献活動団体へ寄付もしている。

 積水ハウスとは21年6月よりパートナー企業として連携を開始。今回新たに結んだ連携協定では、食品ロスの削減はもとより、京丹波町創生戦略に取り組む京都府京丹波町とも連携することで、3者が持つリソースを最大限に活かし、地域経済の発展と、ひとの流れづくりなどに取り組んでいく。

 具体的な取り組み内容としては、フードロスや地方創生に興味のある学生を日本全国の人手不足で悩む地域・農家に派遣する「クラダシチャレンジ」を実施する。まずは10月19日から24日までの6日間、京丹波町新田農園で、大学生6名が未収穫残となっている地域の特産品である黒枝豆の収穫支援を行う。そして、ショッピングサイト「KURADASHI」および「道の駅京丹波 味夢の里」にて販売することで、特産品黒枝豆のPRや販路拡大、地域活性化を目指す。インターンシップに参加する学生の募集・旅費や滞在費等はすべて、クラダシが社会貢献活動を行うために設立したクラダシ基金から拠出。宿泊は、「フェアフィールド・バイ・マリオット・京都京丹波」を利用する。

 普通の枝豆よりも大粒で旨みがある京丹波の黒枝豆は、とくに関西では広く知られた秋の味覚。これを機に全国でも知られるようになれば、地域の活性化にもつながっていくだろう。今回のプロジェクトは京丹波町だけでなく、全国の課題を抱える地域の活性化戦略としても応用できるものだ。新型コロナウイルスの緊急事態宣言が9月30日に解除され、経済も再始動へと向かい始めた。「Trip Base 道の駅プロジェクト」を起点に、日本の魅力が再発見され、地域が活気づくことを期待したい。(編集担当:藤原伊織)