冬の節電対策に向けて動き出す企業と消費者の意識

2011年11月14日 11:00

 11月1日に経済産業省から今冬における電力需給対策が発表され、需給の見通しは夏季ほど深刻にならないとはしたものの、ピーク時の抑制を目指す方向であり、家庭内での節電も積極的に呼びかけている。そして、様々な業界も今度は冬季向け節電対策に向けて動き出している。

 発表された今冬の節電要請は関西電力管内で10%以上、九州電力管内で5%以上となっており、今回は需要側の電気使用量の合計ではなく、ピーク期間・時間帯の使用最大電力の抑制としている。

 そんな中、企業によっては既にこの発表前から準備に入り、実施しているところもある。

 日本コカ・コーラは12月中旬から来年3月までをめどに、電力不足が懸念されるエリアの自動販売機約58.6万台のピーク時コンプレッサー機能停止などによる節電対策を発表、伊藤園も屋内設置の自動販売機の24時間消灯を引き続き実施し、屋外自販機の照明用蛍光灯本数の削減を検討するとし、いち早く節電対策に向けた動きを打ち出した。また、関西の鉄道各社も臨時ダイヤ作成の検討を始めており、通勤時の混乱を最小限に留めたい意向だ。

 一方、節電需要で大ヒットした”節電”扇風機や充電式テレビをはじめ、冬にヒットしそうな商品も既に店頭に出回っている。

 冬の節電商品は防寒に直結するものが多く、衣類では発熱・保温素材を使った”ウォームビズ”関連のアイテムに人気が集まると予想されているし、食品関連では生姜入りの物が今秋より続々登場している。他にも、暖房器具として家庭用のペレット・薪ストーブが注目を集めているという。

 このような商品が市場に投入されることで夏同様、節電特需の状況になる可能性も十分にあるが、エネルギー問題に関してはかなり先行した形の住宅業界はどのような商品開発や取組みが行われているのだろうか。

 将来に向けて、低炭素化社会の実現を目指し、スマートハウスの普及にも力を注ぐ住宅メーカーだが、太陽光発電設備を導入する住宅が震災以降、急激に増加傾向を示し、またもうひとつの”創エネ”として、家庭用燃料電池の普及にも積極的だ。大和ハウスは業界初のHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)制御による家庭用リチウム蓄電池を登載したスマートハウスを販売、そして積水ハウスは先日、発電効率の高いSOFC型の小型燃料電池を世界で初めて市販機として発売し、今後の燃料電池普及に向けての足がかりを作っている。また、6月にはオーナーを対象とした「節電アクションコンテスト」を開催し、夏季電力節電15%削減に向けて積極的に呼びかけを行うなど、家庭での節電意識向上に向けた取組みにも積極的だ。

  夏季とは違い需要のピークが朝・夕の2回となる冬季の節電は逆に難しいとの声も上がる。だからこそ、家庭での節電対策はなおさら重要だ。特需をもたらす商品の登場もいいが、最終的には消費者の意識の高さが一番重要。そのためにもハウスメーカーが行っているようなイベントが、継続性を持って実施されるなど、節電対策に向けた啓蒙活動が活発になることを期待したい。(編集担当:加藤隆文)