シャープ、スマホ向け超小型CMOSカメラモジュール開発

2013年02月26日 11:17

 台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の資本提携交渉が暗礁に乗り上げていると報じられるシャープ 。薄型テレビ向けの大型パネルだけでなく比較的好調であった中小型パネルも、iPhone5の売れ行きが悪いことなどを要因として、先行きが不透明な状況にある。こうして液晶パネル事業の没落ぶりばかりがクローズアップされるが、他の事業に関しては好調なものも少なくなく、積極的な展開を見せている。

 大気汚染問題に端を発する空気清浄機の売り上げ増や、メガソーラー向け等の需要が伸長した太陽電池などは、2012年度第3四半期連結決算で前年同期比を上回っている。こうした好調な分野の一つに、モバイル機器向けカメラモジュールが挙げられる。

 2月25日、シャープは、スマートフォンなどのモバイル機器向けに、光学式手振れ補正機能を搭載し、業界最小サイズを実現したCMOSカメラモジュールを開発、発売すると発表した。コンパクトデジタルカメラ市場を侵食しているカメラ付きモバイル機器には、そのカメラの性能向上が求められており、手振れ補正機能や、明るく高画質な映像を撮影したいというニーズが高まっている。

 こうした中、今回発売されるカメラモジュールは、オートフォーカス付の光学式手振れ補正機能を搭載。モジュール内部のレンズを制御するレンズチルト方式の採用などにより、従来機種に比べて約35%の小型化を実現しているという。また、F2.0のレンズを採用し、暗いシーンや動きのあるシーンでも、明るく高画質な撮影が可能で、フルハイビジョン(1080p/60fps)動画の撮影にも対応。スマートフォンなど搭載端末のさらなる高密度実装に貢献する上、手振れを抑えた高画質な映像を大型液晶テレビなどで楽しめる性能をもった製品となっている。なお、4月から量産を開始し、月産個数20万個を予定しているとのこと。

 2012年度第3四半期連結決算では、モバイル機器向けカメラモジュールを含む「その他電子デバイス」分野において、売上高が前年同期比136.1%となっており、年間でも前年比115.5%と好調を維持すると予測されている。「高精細」「低消費電力」を特徴とした「IGZO液晶」という武器もあり、モバイル機器に関する部材は好調・高度なものを有している。しかし、それを組み立てモバイル機器として製品化すると、先の決算における売上高が前期比93.9%、前年同期比99.0%という数字に見られる通り、とたんに振るわなくなる。こうした点を解決出来れば、回復への道筋が見えてくるのではないだろうか。(編集担当:井畑学)