岸田文雄総理は23日、記者会見し、ロシアがウクライナ東部地域で独立を図る2つの共和国(ドネツク人民共和国、ルガンスク人民共和国)と条約を批准し、軍隊派兵を命じるなどした行為に「明らかにウクライナの主権、領土の一体性を侵害し、国際法に違反する行為だ」と「改めて強く非難する」と非難した。
そのうえで「ロシアに対し外交プロセスによる事態打開に向けた努力に立ち戻るよう強く求める。また引き続き重大な懸念を持って注視していく」と述べた。
そのうえで、日本として、制裁措置をして(1)2つの共和国の関係者の査証発給停止及び資産凍結、(2)いわゆる2つの共和国との輸出入の禁止措置の導入、(3)ロシア政府による新たなソブリン債の我が国における発行・流通の禁止などを行うことを決め「必要な手続きを速やかに進めるよう指示した」と語った。
岸田総理は「今後、事態が悪化する場合には、G7を始めとする国際社会と連携して、更なる措置を速やかに進めるよう取り組む」とした。合わせて「ウクライナ在留邦人の安全確保のためにも全力を尽くす。避難措置など邦人保護業務を行うため、西部のリヴィウに臨時の連絡事務所を設け、隣国において退避のためのチャーター機を手配済み」と述べた。
エネルギーの安定供給について「原油市場の安定に向けて、国際的に連携して取り組んでいく。原油については国、民間合わせ約240日分の備蓄があり、LNG(液化天然ガス)も電力会社、ガス会社において、2~3週間分の在庫を有している。このため、今回の事態がエネルギーの安定供給に直ちに大きな支障を来すことはないと認識している」とした。
また、岸田総理は「原油価格高騰に対する備えにもしっかり取り組んでいく」とし「今後、更に原油価格が上昇し続けたとしても、国民生活や企業活動への影響を最小限に抑えることができるよう、何が実効的で有効な措置かという観点から、あらゆる選択肢を排除することなく、政府全体でしっかり検討し、対応していく」と述べた。(編集担当:森高龍二)