業務と郵便局長会活動、誤解招かぬよう 総務相釘

2022年06月23日 06:07

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全国郵便局長会では会社経費で購入したカレンダーを自民党参議院の後援会会員への贈答品に使っていた問題や100人を超える郵便局長が顧客情報を利用して政治活動に流用するなど、公共性の高い職にありながら、不祥事が相次いでいる

 金子恭之総務大臣は21日の記者会見で、公共性の非常に高い「郵便局長」の志望者に、全国の中小郵便局長らでつくる任意団体・全国郵便局長会が『後継者育成マニュアル』をつくり、選挙活動の指導や局長候補とその配偶者まで参加させての面接・研修を行い、採用に強い影響を与えているとされる問題について「日本郵便は本件に関し、今後とも説明責任をしっかり果たし、民間企業である会社業務と任意団体である局長会活動に誤解を招くことがないよう、適切に対応いただきたい」と活動を峻別するよう釘を刺した。

金子大臣は局長会作成の後継者育成マニュアルについて「日本郵便からは外部の弁護士も交え内容を精査したが、郵便局長の採用選考に局長会が関与していると具体的に指摘できる記述などはなかった。また各支社人事担当に改めて確認したが、当該マニュアルが郵便局長の採用選考に影響を与えた事実は認められなかったとの報告を受けた」などと日本郵便の報告を丸呑み了承した様子。

 記者団からは、日本郵便はマニュアルの記述内容を確認しただけで、局長会関係者から聞き取りをしていない。局長会が採用試験前に実施している面接や研修などの活動実態についても調べていない。調査は十分と言えるのかと不信の指摘も出た。

 金子大臣は「今後、同社において、局長採用については『誰でも応募が可能』で、『事前研修等の受講を要件としていない』などを改めてウェブサイトで周知すると伺っている」と述べたが、対応の甘さは否めない。

 金子大臣は「本件は個別の企業の人事・採用に関することで、一義的には日本郵便が自ら説明責任を果たしていくべき問題と考えているが、総務省としても同社の取り組み状況を注視していく」とした。

 日本郵便の筆頭株主は「財務大臣」。つまり国。一企業の採用案件などとの判断が許されるわけがない。筆頭株主として、徹底調査させるべき。全国郵便局長会では会社経費で購入したカレンダーを自民党参議院の後援会会員への贈答品に使っていた問題や100人を超える郵便局長が顧客情報を利用して政治活動に流用するなど、公共性の高い職にありながら、不祥事が相次いでいる。(編集担当:森高龍二)