東京マラソン、大きな経済効果の裏で発生している損失

2013年02月26日 20:03

 もはや2月の恒例行事と化した東京マラソン。今年は、合計36676人が出走し、沿道に駆け付けた人数は130万5000人、同時開催の東京大マラソン祭りにも43万人が参加するなど、近年まれに見るイベントにまで成長している。2万人以上が東京都外からの参加であるなど日本全国から人が集まり、その経済効果は240億円とも言われる程である。この東京マラソンが火付け役となり、大阪マラソンや神戸マラソン、京都マラソンなどの都市型マラソン大会が乱立、様々な市場を巻き込んでいるマラソンブームであるが、市場が活気づく良い面ばかりではない。

 東京マラソンに関して最も多く言われる弊害は、都心を長時間交通規制することであろう。都心に人が溢れすぎて目的地になかなか辿りつけない、目の前の道路を渡れば目的地であり、ランナーが来ていないにも関わらず遠方にまで迂回させられる等、そこで生活をする人にとっては迷惑極まりないことは想像に難くない。こうした住民感情面だけなく、流通がストップすることによる損失は無視出来ないものがあるであろう。しかし、もっと大きな弊害が大型のマラソン大会には潜んでいる。それが翌日の仕事における効率の低下、ひいては生産効率の低下である。

 クロス・マーケティングが実施した「マラソンランナーの疲労」に関する意識調査によると、マラソンによる疲れが原因で翌日の仕事・学校・家事を「休みたい」と思った経験のある人は過半数を超え、実際に休んだ経験のある人間も17%にまで上る。さらにこの傾向は、普段からよく走っている人ほどその傾向が高く、ほぼ毎日ランニングをしている人の24.1%が休んだ経験を持つという。また、ランナーの35.9%が、大会の疲労によって、翌日の仕事や学校に支障が出たと回答。普段の仕事・勉強・家事の能率を100%とした場合、マラソンの翌日は平均で67%と約3割もパフォーマンスが低下し、これはランニングの頻度や時間に関係なく影響している。東京マラソンで換算すれば、単純計算で10000人分以上の労働力が一日、奪われるのと同じことである。多数の人間が一度に3割ものパフォーマンスを低下させることは、無視できない損失ではないだろうか。

 その経済効果ばかりが報じられ、損失に関しては一向に聞こえてこない。プラスがマイナスを凌駕するが故に見向きもされないのであろう。また、東京マラソンに関しては地方からも多くの人間が東京に集まる。その結果、宿泊や観光などが大きく経済効果を押し上げている。しかし、東京でお金を落とす分、当事者たちによる地元での消費は抑えられるのではないだろうか。となると、元来厳しい状況にある地方経済にとっては更なる損失となる。自治体ごとにみればその損失額は微々たるものかもしれないが、合計するとこれも無視できない金額になるのではないだろうか。大きなイベントごとが成功した時、華やかな部分ばかりをクローズアップするのではなく、こうした損失面にもスポットを当てるべきではないだろうか。(編集担当:井畑学)