円・ドル、希望相場「110円以上125円未満」企業の75%。137円は悪影響、企業の半数

2022年08月30日 07:40

画・円・ドル、希望相場「110円以上125円未満」企業の75%。137円は悪影響、企業の半数。

東京商工リサーチが「円安に関するアンケート」調査。1ドル=137円前後の円安が経営に及ぼす影響について「マイナス」と回答した企業は48.7%。希望レート「110円以上125円未満」の企業が75.1%。

3月上旬から急激な円安が進行している。背景にはFRB関係者のタカ派発言が相次ぎ、米国の利上げペースが加速するとの期待が高まったためとされる。このところ米国物価統計のピークアウトやGDP統計の減速などを受け落ち着きを見せていたものの、FOMC(連邦公開市場委員会)メンバーのタカ派姿勢は変わらず、再び強い円安トレンドで動き始めている。

 この急速な円安で日本の輸入物価は高騰し、食品メーカーを中心にコスト上昇を理由とした値上げラッシュが始まっている。値上げラッシュの中でも多くの企業では価格転嫁が容易ではなく、利益を圧迫されている企業が増加している。3月上旬に110円台であったものが6月から130円台の水準を維持しており、企業の想定レートと実勢レートは大きく乖離している。東京商工リサーチの調べでは、日本企業が希望するレートは「110円以上125円未満」のレンジで、137円の水準では半数の企業が経営に悪影響と捉えているようだ。

 8月27日、東京商工リサーチが8月上旬に実施した「円安に関するアンケート調査」の結果レポートを公表しているが、これによれば、1ドル=137円前後の円安で、経営に「マイナス」と回答した企業は48.7%とほぼ半数を占めた。規模別に見ると、大企業で42.6%に対し、中小企業では49.8%と中小企業で高くなっている。業種別に見ると、「繊維・衣服等卸売業」で89.2%と最も高く、次いで「飲食店」の81.8%、「家具・装備品製造業」81.2%となっており、この3業種では「マイナス」の回答が8割を超えている。

 望ましい相場のレンジとして最も多かったのは「110円以上115円未満」の29.9%で、次いで「115円以上120円未満」が22.6%、「120円以上125円未満」22.4%の順となっており、この3つのレンジ「110円以上125円未満」で75.1%と全体の4分の3以上となっている。中央値は115円で、前回6月調査の110円より5円上がっている。急速な円安トレンドが長期化し、130円以上の円安水準が定着している中で、企業の希望レートのレンジは徐々に円安方向にシフトしているようだが、希望レートを130円以上と回答した企業は3.9%にとどまっており、やはり130円台の相場は多くの企業にとって、経営にマイナスの影響を与えるものとなっているようだ。レポートは「為替相場は原材料価格の上昇を招いており、輸出入企業以外への影響も懸念される」と指摘している。(編集担当:久保田雄城)