法政大学前総長の田中優子氏や上野千鶴子東大名誉教授ら学者、作家らが呼び掛けた安倍晋三元総理の国葬の中止を求める署名など、ネット署名で集まった国葬反対や国葬中止を求める署名約40万人分が5日、内閣府国葬事務局に提出された。
松野博一官房長官は記者会見で「提出されたことは承知している」とし「安倍元総理の国葬儀は、故人に対する敬意と弔意を表す国の公式行事として催し、海外からの参列者の出席を得る形で執り行うことが適切と判断したもの」と政府判断を説明。
そのうえで「国民一人一人に政治的評価や喪に服することを求めるものでないことなどをこれからも丁寧に説明していきたい」と強調した。
政府は葬儀委員長の決定として、省庁に半旗を掲げ、一定時刻に一定時間の黙とうを行うが「自治体や教育委員会に協力方の要請をする予定はない」としている。また「弔意を強制するものとの誤解を招かいないようにするために閣議了解はしなかった」とこれまでに説明している。
一方、国葬に要する費用について、政府は6日にも概算を公表するもよう。政府は外国要人など参加者の接遇費用や警備費用などに関して国葬後に公表するとしてきたが、世論の反発や野党から閉会中審査を行うまでにできるだけの資料を提示するよう求めるとしたことを受け、経費概要について公表することにしたとみられる。
国葬中止を求める理由としては(1)個人の葬儀を国が行う根拠法がない(2)特定個人の葬儀費用を税金で執行することは「法の下の平等」「思想・良心・信教・表現の自由を侵害する」「財政民主主義を定めた憲法に反する」(3)安倍氏の政治的評価は定まっておらず、「モリカケ・サクラ疑惑」など行政私物化や100回を超える虚偽答弁などの国会軽視で相応しくない」などの声があがっている。(編集担当:森高龍二)