広がる「無縁化」社会。さいたま市で進む、地域を「つなげる」新しい街づくり

2022年12月18日 10:29

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各々の家庭の生活スタイルを維持しながら、近隣関係のつながりを高めようとする新しいカタチの街づくりも生まれている

 「袖振り合うも多生の縁」という言葉があるように、日本人は昔から「縁」を大切にする民族だ。ところがその日本社会では今、この「縁」が希薄になりつつあり、ついには「無縁社会」などという寂しい造語まで使われ始めている。

 日本の社会が「無縁」化している原因は、少子化、超高齢化社会、単身世帯の増加など、いくつも考えられる。そのため、様々な生活シーンにおいて、絆やつながりといったものも薄れている。例えば、各家庭においては、共働き世帯の増加や習い事などで家族と過ごす時間が減り、家族全員が揃う時間がほとんどないという生活を送っている家庭も珍しくない。そのせいで、家族に期待される役割が十分に果たせなくなってきている。地域社会においても、集合住宅の増加や新興住宅地の増加、単身世帯の増加などによって、昔よりもご近所付き合いが少なくなっている。若い世代を中心にそれを望まない人も増えていることによって、地域活動への参加も少なくなっているようだ。それを気楽だと考える一方、お隣りさんの顔も名前も知らないような生活に、治安の悪化や不安を感じるという声も少なくない。職場でも同様で、人材育成機能の低下やコミュニケーション機会の減少を指摘する声も多い。

 そんな中、各々の家庭の生活スタイルを維持しながら、近隣関係のつながりを高めようとする新しいカタチの街づくりも生まれている。

 例えば、2050年までにゼロカーボンシティを目指すことを表明しているさいたま市が、地域活性化総合特区「次世代自動車・スマートエネルギー特区」事業における脱炭素循環型コミュニティプロジェクトの先導モデル事業の最終期となる街づくりとして、株式会社中央住宅、株式会社高砂建設、株式会社アキュラホーム、株式会社Looop らと取り組んでいる複合型シェアリングコミュニティ「浦和美園E-フォレスト 2021」がある。

 同分譲地の開発プロジェクトでは、敷地利用の多様化を目的に敷地拠出型共有地を全棟に設定して「つなぐ場」を創出。維持管理協定の締結によって、緑道化された共有地の共同管理を行い、良質な住環境とコミュニティを形成し、コモンアクセス設計による歩車分離や多方向避難などのレジリエンス性を向上している。また雨水利用や装飾菜園、果樹による循環型ライフスタイルを構築して満足度の高い暮らしを提案。そして、それらコミュニティやレジリエンスに加え、インフラ地中化やセントラル創蓄電、EVシェア、V2G設定等、共有地の高度利用を図り街区のエネルギーシェアを実現。複合型シェアリングにより再エネ自家消費率60%超、街区内電力の実質再エネ100%、自立運転15時間を達成する脱炭素循環型の分譲住宅を形成している。

 さいたま市では、環境負荷の低減やエネルギーセキュリティが確保され、住みやすく、住民同士のコミュニティ醸成にも寄与する「スマートホーム・コミュニティ」の普及に取り組んでいるが、このような街づくりが他の地域にも広がれば、無縁化社会の抱える問題も緩和されるのではないだろうか。