岸田文雄総理の施政方針演説を受けた各党による代表質問が25日行われ、立憲民主党の泉健太代表は衆院本会議で「防衛増税するのに、演説では増税との言葉を一切使わなかった。明らかに『増税隠し演説』だ」と不利な事実を隠すものだと指摘。「防衛増税するなら、衆院の解散・総選挙で国民に信を問え」と強く求めた。「野党6党は防衛増税に反対だ」とも訴えた。
岸田総理は「何について、どのように国民に信を問うかは時の総理の専権事項として適切に判断していく」などとし、応じなかった。
この日の代表質問で泉氏は特に、政府が来年度から5年間に防衛費を43兆円と表明していることに「まさに額ありき、増税ありき、国会での議論なし、乱暴な決定だ」と非難した。
また額を「冷静で合理的な積み上げを欠き、現場負担も考慮することなく、一気呵成に決めたことは大きな問題だ」と訴えた。
泉氏は「閣議決定後に国会議論するなら議論の結果次第で防衛3文書も当然、修正するべきだ」とも求めた。「それがまっとうな民主主義の手続きではないか」とした。
泉氏は、立憲は「ミサイル防衛能力の強化、宇宙・サイバー・電磁波などの強化、継戦能力の強化、自衛隊人的基盤の強化、重要防護施設の防護強化など時代の変化に則した質の高い防衛力の整備を現実的に訴えている」とし、岸田政権の「額ありきの対応には失望している」とした。また防衛費捻出のため建設国債利用など財源確保の在り方を問題として岸田総理を追及した。
このほか子ども・子育て予算に関しても「財源を全く語らなかった」と財源説明なく、言葉だけ先行の演説を問題視。また「高齢者が物価高に苦しんでいるのに、年金減給に関して一言もなかった」と政府に不利な情報を隠蔽していると非難した。予算委員会での論戦、熱戦がうかがわれるものとなった。
岸田総理は「防衛力を安定的に支えるためにはしっかりした財源が不可欠。国民負担をできるだけ抑えるべく行財政改革の努力を最大限に行う。決算剰余金については過去の実績を踏まえて規模を見込んでいる。予算をあらかじめ膨らませることで防衛費にあてることは意図していない。建設国債は防衛力の抜本的強化を補完する取組みとして防衛省と海上保安庁との連携や公共インフラなどが明確に位置付けられたなかで、海上保安庁の船舶や港湾などのインフラ整備が建設国債の発行対象であることを踏まえ、安全保障にかかる経費全体で整合的な考えをとる観点からとった」などとした。そのうえで「財源確保への内閣の方針に国民に理解いただけるよう国会での議論を含め丁寧に説明する」とした。今後、どこまで説明できるのかが問われそうだ。(編集担当:森高龍二)