異次元の少子化対策に向け、検討を始めた政府。民間企業ではすでに様々な施策が

2023年01月29日 10:15

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異次元の少子化対策の柱となるのは「児童手当を中心とした経済支援の強化」「学童保育などを含めた幼児教育・保育サービスの強化と拡充」「働き方改革と制度の充実」の3つ

 政府は1月19日、岸田首相が掲げる「異次元の少子化対策」の実現に向け、関係府省会議の初会合を開催、3月末をめどに具体策のたたき台をとりまとめる方針を固めた。異次元の少子化対策の柱となるのは「児童手当を中心とした経済支援の強化」「学童保育などを含めた幼児教育・保育サービスの強化と拡充」「働き方改革と制度の充実」の3つ。財源については、春の統一選挙後に先送りされる見通しだ。

 現在でも法令によって、出産や子育ての支援が定められてはいる。例えば、労働基準法第65条では、産前6週間、多胎妊娠の場合は14週間、および産後8週間の産前産後休暇が認められている。また、育児・介護休業法でも、育児休業や、出生後8週間までに取得できる4週間の産後パパ育休制度、育児短時間勤務制度などが設けられている。ところが、経済的な理由や職場の事情や対応などが原因で、必ずしも全ての子育て家庭がこれらの支援策を受けられているとは限らないのが現状だ。

 一方、民間企業でも独自に子育て支援に奔走している企業も増えてきている。

 例えば「育休」の制度設計を積極的に進めているのが、住宅メーカーの積水ハウス<1928>だ。同社では、2018年9月より「男性社員1ヶ月以上の育児休業(育休)完全取得」(特別育児休業制度)を推進。最初の1ヵ月は有給とし、業務との調整を図りやすいよう、最大で4分割での取得も可能で、さらに2021年4月からは、配偶者の産後8週間以内は1日単位で自由に取れるように変更し、より柔軟な男性育休を実践している。

 また、木造注文住宅メーカーのアキュラホームでは、「しあわせ一時金」という同社独自の「出産祝金」制度を導入。勤続1年以上の社員に対し、1人目は30万円、2人目は50万円、3人目以上の出産には、なんと100万円が支給されるというものだ。たとえば子供を4人設けると「しあわせ一時金」はトータルで280 万円になり、さらに同社が加盟している東京不動産業健康保険組合からの子供1 人あたりの一時金42万円と付加金24万円を加えると540万円になる(被保険者が出産する場合)。法令や育児休暇も大事だが、子どもの多い世帯ではとくに、経済的な負担や不安は大きい。もちろん、すべての出費を賄えるわけではないが、努めている会社等がこれだけの支援をしてくれるのなら、大幅な負担軽減になり、安心して生活することができるだろう。

 民間企業でも子育てに関して色々な施策を考え、それを素早く実行している。「異次元」とまで銘打つからには、政府にはそれ以上の具体的かつ有効な支援策や対策を期待したいところ。議論や検討を重ねている間にも、子どもはすくすくと育っていく。何よりも、素早い実行を期待したい。(編集担当:藤原伊織)