トヨタ自動車は、電気自動車(BEV)向けの次世代電池「全固体電池」を2027年にも実用化する旨発表した。具体的な内容は、株主総会に先んじる数日前に開催した「クルマの未来を変えていこう」をテーマにした技術説明会「Toyota Technical Workshop」で、モビリティカンパニーへの変革する多彩な新技術のひとつとして公表した。5月に発足したバッテリーEV専任組織である「BEVファクトリー」で実現を目指す。
全固体電池(ALL SOLID-STATE BATTERY)は、現在主流のリチウムイオン電池よりも航続距離を伸ばせるほか、充電時間を大幅に短縮できる。BEV普及の起爆剤として期待されており、いよいよ BEVへの搭載を目指した“実用化フェーズ”に入る。
BEV用全固体電池は、豊田自動織機とトヨタグループ内の知見を結集し開発中で、課題の耐久性を克服する技術的ブレイクスルーを発見。従来のHEVへ の導入を見直し、期待の高まる BEV 用電池として開発を加速させる。
現在、HEVやBEVで広く普及しているリチウムイオン電池は、正負両極をつなぐ電解質に液体を使うが、全固体電池は電解質が固体だ。エネルギー密度が高まり充電時間が大幅に短縮でき、容量も大きくBEVの航続距離も伸ばせる。
トヨタが昨年発売したリチウムイオン電池を使うBEV「bZ4X」の1回の充電当たりの航続距離は約559lmだが、全固体電池だと約2.4倍に伸びるという。
トヨタは、2027年から2028年に実用化する方針を示した。が、まだ「いかに高い品質を安いコストで製造するのか」という大きな課題が残っている。
全固体電池の開発は日本企業が先行しており、各社が量産化に向けて凌ぎを削っている。 日産自動車は、28028年度までに自社開発の全固体電池を搭載したEVを販売する予定。2024年度には横浜工場で試作を始める計画で、アライアンスを組む三菱自と仏ルノーとの共同活用を見込む。ともあれ、トヨタの発表は日産に1年ほど先行する。
ホンダは2024年春に、量産技術の確立に向けた生産ラインを栃木県さくら市の研究開発拠点内に設置する予定2020年代後半の製品化を目指す。(編集担当:吉田恒)