聞こえ始めた、水素社会の足音。大手住宅メーカーが水素住宅の実証実験を開始

2023年07月23日 10:32

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積水ハウスが、太陽光発電による再生可能エネルギーの電力を用いて自宅で水素をつくり、住宅内の電力を自給自足する水素住宅の開発を発表している

世界規模で脱炭素社会の取り組みが進む中で、水から製造でき、燃焼時にCO2を排出しないクリーンエネルギーである水素を活用する動きが強まっている。

 富士経済が2023年3月に発表した、水素関連の市場調査結果によると、水素ガスのグローバル市場は、2040年度に2021年度比で2.1倍となる53兆8297億円に拡大、発電設備や製造装置、水素ステーションなどの機器も含めた水素関連市場全体では、2040年度に同3.5倍の90兆7080億円に成長すると見込んでいる。水素には、石炭や天然ガスなど化石燃料由来の「グレー水素」をはじめ、再生可能エネルギー活用と水の電気分解で製造され、CO2排出がない「グリーン水素」、化石燃料からの二酸化炭素を回収・貯蔵して製造される環境負荷の低い「ブルー水素」があるが、今後はとくに低炭素な製造方法による水素が主流となっていき、燃料電池車(FCV)や発電設備での利用が増加すると見られる。

 日本国内で水素エンジンにこだわりを見せているのは、トヨタ自動車だ。トヨタが、量産車として世界初の高級セダン型燃料電池自動車「MIRAI(ミライ)」を発売したのは2014年。従来の内燃機関(エンジン)を搭載しておりながら、走行中にほぼCO2 などの有毒ガスを排出しないで走行することが可能ということで、当時は大きな話題になったものの700万円を超える高価格と、水素インフラの整備が進まないことがネックになり、初代は販売台数が伸び悩んだ。しかし、同社は将来的に二酸化炭素の排出ゼロの自動車はEV以外の選択肢がユーザーにあってもいいだろうという価値観を重く見て、販売を継続、モータースポーツの場などでも開発を推し進めている。

 また、今年7月には住宅メーカーのリーディングカンパニーである積水ハウスが、太陽光発電による再生可能エネルギーの電力を用いて自宅で水素をつくり、住宅内の電力を自給自足する水素住宅の開発を発表している。家庭の電力を賄う自家発電燃料として本格的に水素を活用した実証実験は 、2023年6月から同社の総合住宅研究所で開始され、2025年夏の実用化を目指すという。

 脱炭素とエネルギー安定供給を両立する新たなエネルギーとして注目される水素だが、やはり住宅業界でも、国内外のインフラ・サプライチェーンの整備・構築などが大きな課題となっている。そこで積水ハウスでは「水素が手元に届く時代の到来を待つのではなく、自ら水素をつくり活用し、脱炭素化を推進すべき」との考えのもと、本実証実験を実施する。

 具体的なシステム構成としては、日中は従来通りに太陽光発電パネルでエネルギーをつくってそれを消費するが、その余剰電力を利用して水を電気分解し、水素をつくる。できた水素は水素吸蔵合金のタンクで貯蔵され、雨の日などの日射不足時や夜間は貯蔵した水素を利用して燃料電池で発電するという仕組みだ。

 日本政府も今年6月、水素基本戦略を6年ぶりに改定し、国内の水素製造と海外からの水素の購入を合わせた水素の導入量を2040年までに年間1200万トンに拡大するという目標を新たに設定。官民合わせて今後15年間で15兆円の投資を行うと発表している。

 これから水素関連の話題が多くなってきそうだ。(編集担当:藤原伊織)