防衛省は1日、小中高生向け「まるわかり!日本の防衛(はじめての防衛白書)」を省HPで公表した。浜田靖一防衛大臣は「安全保障環境や自衛隊の活動について理解を深めるきっかけを増やすことを目的に公表した」と語った。
「令和5年版防衛白書の内容をより一層平易な言葉でまとめ、難しい言葉の解説としてキーワードや装備品紹介などをまとめた巻末特集を新たに設けるなど、より分かりやすくなる工夫した」とした。
初めての白書では、憲法9条全文を掲載し「外国が武力を用いて日本を攻撃してきた場合や、ほかの国に対する攻撃により日本の存立が脅かされ、国民の生命・自由・幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合に、自衛隊が日本を守るために武力を行使することが認められています。このような場合でも、ほかに適当な手段がなく、必要最小限度の実力行使であることが求められます。例えば相手国の領土の占領などは自衛のための必要最小限度を超えるものと考えられるので、認められません」と解説。
自衛隊について「日本国憲法は第9条に戦争放棄、戦力不保持、交戦権を認めないことを定めています。これは、国として当然に保有している自衛権(外部からの攻撃があった場合に、自分の国を守る権利)を否定するものではなく、自衛のための必要最小限度の武力を行使することは認められています」と説明。
そのうえで「外国が武力を用いて日本を攻撃してきた場合に、国を守るための必要最小限度の防衛力として自衛隊を持つことは、憲法第9条のもとでも認められています」と解説。
反撃能力については「反撃能力は武力攻撃そのものを抑止するものです。また、憲法及び国際法の範囲内で専守防衛などの考え方を変更するものではありません。また、武力攻撃が発生していない段階で自ら先に攻撃する『先制攻撃』は許されないものであり、もちろん日本は行いません」と説明している。
また5年間で43兆円を投じ防衛力の抜本的強化を図としていることなどを踏まえ「戦争を未然に防ぐためには国を守り抜く意思と能力が必要」と記述し「平和や独立が脅かされないよう、日本にとって望ましい国際環境を作るための外交(交渉・協力など)といった手段が重要で、同時に効果的な外交には裏付けとなる防衛力が必要です」と防衛費、GDP比2%を目指す岸田内閣の姿勢、外交の裏付けに防衛力が必要とする考えを記述した。
またロシアによるウクライナ侵略に「ウクライナは、ロシアから『国を守るために十分な力を持っていない』と思われたため、ロシアによる侵略を思いとどまらせることができなかったということなのです」とロシアの侵略行為を材料に防衛力の必要性や正当性をアピールした。(編集担当:森高龍二)