岸田文雄総理は17日、訪米前会見で、東京電力福島第一原発事故で溜まり続ける放射性物質による汚染水のALPS処理水(多核種除去設備での処理水)海洋放出の時期について「現在、この具体的な時期、プロセス等について決まっているものではない」と今月末頃ともいわれる中で時期を明確にはしなかった。
岸田総理は「海洋放出については従来から、春から夏頃を見込んでいるという時期について示していたところであり、この方針に従って、国内外で丁寧な説明を続けているところだ」とした。
そのうえで「具体的な放出時期については安全性の確保、風評被害対策の状況、取組み状況を政府全体として確認し、判断していきたいと思っている」と慎重に答えた。日米韓3か国首脳会談や日韓首脳会談でも一層の理解を求めて行く考えのもよう。
しかし、聯合ニュースは韓国大統領室関係者による情報として「日韓首脳会談では汚染水問題は議論しないことにした、と明らかにした」と17日午後に報じた。韓国内では海洋放出への野党4党の反発が激しく、国内事情に配慮し、他の議論を優先することにしたと見られる。
福島第一原発事故による放射性物質による汚染水は日量今も90トンあまりが溜まり続けている。東電はこの量を50トンにまで減量できるようにしたいとしている。一方で、東電が抱えている処理水など貯蔵量は8月3日現在134万3227トン(このうち処理水は約3割、処理途上水が約7割、ほかにストロンチウム処理水が8848トン)にまで増えている。(編集担当:森高龍二)