岸田文雄総理は世界の投資家が集まり3日開かれた「PRI in Person2023」で「日本には2100兆円を超える家計金融資産がある。現在その太宗は貯蓄(個人の現金・預金1111兆円)だが、これを投資へシフトするための政策パッケージを推し進めている。この投資は日本のみならず、世界の持続的な成長に貢献するだろう」とアピールした。
岸田総理は「日本の2100兆円を超える家計金融資産のうち530兆円程度は保険や年金として大部分を資産運用業者やアセットオーナーが運用している。公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の資産規模は約220兆円で世界最大規模となっている。持続可能な社会の実現には社会課題に応える企業に投資を振り向け、課題に応えない企業には必要な対応を求めることが大切」などと語った。
岸田総理は、そのうえで「個人の長期投資を預かる資産運用業者やアセットオーナーの運用力が重要で、これらの運用力向上やガバナンス改善、資産運用業への新規参入と競争の促進など『資産運用立国』の実現に向けた政策プランを年内に策定する」との考えを示した。
また「政府として所要の環境整備を行い、代表的な公的年金基金、少なくとも7基金、90兆円規模が新たにPRIの署名に向けた作業を進めることを表明させていただく」と述べ「公的年金基金がサステナブルファイナンスへの取組みを強化し、その流れを市場全体に波及することを目指す。企業と金融双方が力を合わせ、社会を変える大きなインパクトを生み出し、持続可能で力強い成長を実現していくことは私の提唱する『新しい資本主義』の理念に正に合致する」などと資産運用の活性化に強い意欲をうかがわせた。(編集担当:森高龍二)