最高裁大法廷は25日、性同一性障害の人が戸籍上の性別変更をする際に事実上、生殖機能手術を要するとしているのは憲法に違反するとの判断を示した。
女性として日常暮らしている戸籍上の男性が、戸籍上の性別を女性に変更するよう求めた家事審判に対する決定で「性同一性障害特例法」で生殖能力がないこと、性別の外観が変更後の性別の性器に似ていることとして、生殖機能をなくす手術をしなければならない内容になっていることを憲法違反とした。
最高裁は一方で、手術なしで性別の変更を求めた訴えについては高裁で審理をやり直すよう求めた。
森屋宏官房副長官は同日、記者会見で「最高裁で違憲との決定が出たことは承知している。詳細について掌握していない。今後、関係省庁で決定内容を精査の上、適切に対応していくものと考えている」と違憲判断を踏まえた対応を関係省庁で行っていくものとの考えを述べた。
また森屋官房副長官は選択的夫婦別姓について記者団に問われ「現在でも国民の間に様々な意見がある」とし「しっかり議論し、より幅広い国民の理解を得る必要がある」と述べた。
同性婚制度についても「国民一人一人の家族観とも密接にかかわるものであり、国民各層の意見、国会においての議論の状況、同性婚にかかわる訴訟の現状、地方自治体でのパートナーシップ制度導入の状況を注視していく必要がある」とした。
そのうえで「政府としては多様性が尊重され、すべての人が互いの人権や尊厳を大切にし、生き生きとした人生を享受できる社会の実現に向け、様々な国民の声を受け止め、しっかり取り組んでいきたい」と強調した。(編集担当:森高龍二)