岸田文雄総理は12日のマイナンバー情報総点検本部会合でマイナンバーカードに健康保険証を紐づける「マイナ保険証」の完全普及を図る狙いで「法令に基づき、予定通り、現行の健康保険証の発行を来秋に終了する」と明言した。
依然として不信感が払しょくされない中、岸田総理は「マイナンバーカードはデジタル社会における公的基盤。医療分野においてもマイナ保険証は患者本人の薬剤や診療のデータに基づくより良い医療、なりすまし防止など、患者・医療現場にとって多くのメリットがある」と強調。
また「電子処方箋や電子カルテの普及・活用にとって核となる我が国の医療DX(デジタル・トランスフォーメーション)を進める上での基盤だ」とアピールした。「まずは一度、マイナ保険証を使っていただき、より質の高い医療などメリットを感じていただけるよう、医療機関や保険者とも連携して利用促進の取組みを積極的に行っていきたい」と普及環境を整備する考えを述べた。
岸田総理はマイナンバー情報総点検で8351件、割合で0.01パーセントの紐付け誤りが判明したとしたうえで「再発防止策を講じつつ、通常業務において、定期的にマイナンバー確認を徹底していくフェーズに移行する」と述べた。
また「健康保険証について、総点検に加え、医療情報という特性も踏まえ、入念的に登録済みの全データについて確認を実施しており、厚労大臣からの報告では来春頃に不一致データの確認作業を完了する見通し」と語った。
そのうえで、岸田総理は「マイナ保険証への移行に際して、健康保険証の廃止後も最大1年間は現行の保険証が使用可能であるほか、マイナ保険証を保有しない方には申請によらず、資格確認書を発行する。デジタルとアナログの併用期間をしっかり設け、全ての方に安心して確実に保険診療を受けていただける環境をつくる」と現行の健康保険証を廃止しても支障ない旨を述べて正当化した。
また「暗証番号の設定が不要な顔認証カードの交付や特急発行の仕組みの構築などマイナ保険証の円滑な利用に向けてマイナンバーカードの改善を進める」とも述べた。そもそもマイナンバーカードは個人の任意によるもので、保有義務がないのに、健康保険証を結び付け、現行の健康保険証を来秋終了すること自体、ゴリ押しのカード普及策としかいえそうにない。(編集担当:森高龍二)