清涼飲料業界は年々、販売競争が激化し、各社は独自路線の商品の開発や販促活動など積極的な展開で生き残りをかけている。主力カテゴリーとして挙げられるのは、缶コーヒー、茶系飲料、炭酸系飲料、スポーツドリンク系飲料などだが、特に昔から日本人に馴染み深い茶系飲料は世代を問わず人気がある商品故に、飲料メーカーの力の入り方は相当のようだ。
その中で創業以来、缶コーヒーを主力として展開するダイドードリンコには、一定のファンを獲得している茶系商品があるという。それが、明治17年に創業した広東料理の名門『聘珍樓(ヘイチンロウ)』のブランドを冠した飲料シリーズ。”ワンランク上のお茶の世界観を気軽に楽しめる”という商品コンセプトの同シリーズは、消費者からの期待値も高く、今年リニューアルされた「聘珍茶寮(ヘイチンサリョウ) ジャスミン茶」や新商品の「聘珍茶寮 彩食プーアル茶+(プラス)」も既に話題を呼んでいる。
「聘珍茶寮(ヘイチンサリョウ) ジャスミン茶」の2011年バージョンでは、高級茶葉を贅沢に使用した香り高い味わいは変更せず、パッケージのリニューアルを実施。味わいを変えなかった理由としては、昨年愛飲した消費者から「これまでジャスミン茶って人工的な匂いが気になっていたけど、聘珍茶寮のジャスミン茶はすごく良い香りで一気にファンになりました」「他のジャスミン茶に比べて断然香りが上品で、濃厚な味わいです」という声が上がってきた事が大きいようだ。
同社が使用している素材は、極上品として知られ、香り立ちが華やかな”春風”に、コクを演出する”特級”をブレンドしている茶葉。ジャスミン茶葉は、釜炒りの緑茶を製造後、この緑茶葉にジャスミンの花の香りを移す着香工程を経て完成するという。ジャスミン茶葉の、等級は五級、四級、…一級、特級の順に高くなり、”春風”はその上の特殊規格品として位置づけられている。高級品の”春風”や”特級”は、一般流通品の一級や三級に比べ、茶香に使用するジャスミンの花の量や回数も格段に多い。例えば”春風”では、原料緑茶葉の2倍以上の量の花を使用し、着香工程を5回も繰り返すという気の遠くなるような作業を経て作られる。さらに良い緑茶を淹れるように低温で丁寧に抽出し、その高い香りを逃さないよう密閉された抽出槽で抽出。新鮮な香りと味わいを維持するため、酸化を防ぐ工夫もしている。
開発を担当した同社企画開発部の香川氏は、取材に対し、「茶葉ロットや製造の中で味わいがぶれることのないよう、品質については通常以上に気を遣い管理しております。このような努力を経て、聘珍茶寮ジャスミン茶の香味コンセプトである”美しい香りがする。思わず深呼吸するほど清らか。”を言葉通り実現できているのだと自負しています」とコメントしている。
また「聘珍茶寮 彩食プーアル茶+(プラス)」の素材は、”プーアル茶”と”烏龍茶”をベースに、菊花、ローズマリー、レモングラスの3種類のハーブをプラス。独特のプ-アル茶の風味を活かしつつも、ハーブがやさしく華やかに香る香味で、食事シーンにおいて”爽やかな後口”を実現している。その味わいは、プーアル茶を普段飲み慣れていない人でも、飲みやすくさっぱりと仕上げており、全ての消費者に日常的に飲用してもらえる工夫も施されている。
両商品とも開発にこだわった点として共通しているのがやはり「味作り」だという。さらに香川氏は「ジャスミン茶では、使用茶葉の選定と抽出方法の検討。華やかな香りが特徴の”春風”に”特級”をブレンドすることでコクを足し、トップの香り立ちから最後まで仄かな甘さの余韻が楽しめる味わいとしました。味作りの際の抽出方法も、抽出温度や撹拌方法等、試行錯誤を繰り返し、現在の製法にたどり着きました。一方、プーアル茶に関しても、プーアル茶独特の風合いを生かしながらも飲みやすく飲み飽きない味わいを作りたくて、ハーブの配合等何パターンも検討しました。そして現在の爽やかな後口の味わいを実現、これなら美味しく飲めるとご好評を頂いております。また、将来的には、さらに女性のキレイを追求するべく素材の検討を続けていきたいと思っています。」ともコメント。
同社は現在、「聘珍樓」とのコラボレート商品を対象とした「横浜中華街「聘珍樓」豪華飲茶セットキャンペーン」を12月5日まで実施。パソコンや携帯サイトから、その場ですぐに”当たり・はずれ”が分かる抽選ゲームの気軽さから、すでに幅広い消費者に注目されている。今後も同社は、味に関するこだわりの技術力を発揮すべく、「聘珍樓」との繋がりはもちろんのこと、さらに消費者に支持される商品開発を模索していく方針だ。