自民党の世耕弘成政調会長代理(参議院自民党政審会長)は25日、NHK日曜討論の安全保障に関する発言の中で自衛隊について「実際に、どう見たって軍隊の自衛隊がある。国際社会から軍隊として見られている」と自衛隊が軍隊との認識を示した。軍隊の保持は憲法第9条2項(戦力の不保持)で禁止されており、違憲状態で存在していることを表明したことになる。
世耕氏は、これを「現行憲法9条2項の最大の欠点」とし「9条2項は陸海空その他の戦力は保持しないと書いてあるにも係わらず、実際にはどう見たって軍隊である自衛隊は存在している」と語った。
そのうえで、世耕氏は「ここをなんとか整理しようと、谷垣総裁の下で、憲法9条1項には戦争の放棄、国際紛争解決のために武力は使わないとし、9条の2項で国の独立と国民を守るために、シビリアンコントロールを前提として国防軍を持つとしている」。「国防軍だけがとりあげられている」と国防軍に対する民主党からの批判を批判した。
これに細野豪志民主党政調会長は「自民党の国防軍は、これまでのあり方を全く転換するもので、国のあり方として大きく問われる」とした。
細野氏は「最近、中国やアメリカの友人と話をしたが、中国はもちろん、アメリカからも強い懸念が表明されている」と自民党の方向を改めて批判した。
世耕氏は「いまの防衛政策を転換させる気は全くありません。国際社会から軍とみられている自衛隊。自衛隊のまま、今の機能を変える気は全くありません。そのうえで、憲法上、整理しようということでやっているのであって、日本を守る軍隊を国防軍であって、何もおかしくないと思っている」と、自衛隊の実態にそうよう憲法改正を提起しているとした。
細野氏は「国防軍は国民は受け入れない」と改めて反論した。
公明党の石井啓一政調会長は「憲法9条の第1項(戦争の放棄)、第2項(戦力の不保持)は堅持すべきと考えている」とし、自衛隊の名称についても「現行憲法下で必要最小限の自衛の組織としての自衛隊があるので、その組織の名称を変える必要はない」とした。
日本維新の会の片山虎之助参議院議員は「自衛隊は憲法9条2項の戦力にあたらない。戦力でない、特殊なもの」と世耕議員が「軍」としたことをフォローした。そのうえで「自衛隊の実態と揃えたいというのが自民党の考えでしょうが、対外的な影響がどうかというこうも考える必要がある」として、「軍」の名称には慎重な対応が求めれるとの認識を示した。(編集担当:森高龍二)