抜け道だらけで「ざる法」の政治資金規正法改正案が19日の参院本会議で自公の賛成多数により可決、成立した。企業団体献金には一切触れず、「政策活動費」を法規に入れて合法化、パーティー券購入者の公開基準を「20万円超」から「5万円超」に引き下げたが、これは年間額でなく、1回あたりの額で、4回開けばこれまで通り、小分けにする手もあるなど透明性確保には程遠い。
加えて政策活動費に関しては領収書公開が「10年後」で「黒塗りもありうる」。さらに改正政治資金規正法では政治資金収支報告書の「要旨」作成、「官報」掲載義務が削除された。
これまでは「要旨」を掲載した「官報」が存在するため、過去にさかのぼり「カネ」の流れをチェックできたが、官報から要旨の掲載がなくなればチェックが困難になる。政治資金収支報告書の公開期間は3年で、インターネットでも見ることができなくなるため、カネの流れ透明化どころか、チェックが難しくなり、改正は「改悪」といわなければならない。
従前に比べ改善されたのは、パーティー券の現金売りは禁止、口座振り込みにすることや議員に対し政治資金収支報告書に「確認書」を義務付け、会計責任者に虚偽記載や不記載があった場合、議員が確認書の作成を怠っていた場合や内容確認せず作成していた場合などには50万円以下の罰金を科し、公民権を停止にすることぐらい。
政治とカネを巡る問題解決にはカネの流れの一層の透明化と政党交付金制度創設時の趣旨に照らし「企業・団体献金の禁止」など、実効性をあげるための継続した取り組みが今後も必要だ。改正政治資金規正法は一部を除き2026年1月1日から施行され、施行から3年をめどに見直す、としている。(編集担当:森高龍二)