岸田文雄総理は19日、経団連夏季フォーラムで講演し「変化を力にする成長戦略と資産運用立国への取組みが日本経済再生の主軸」と強調した。個人の金融資産を株式市場へ誘導し、企業活動に生かせる環境づくりをアピールした格好。「資産所得倍増」を言うが個人に「元本割れ」のリスクは口にしない。
この日の講演では「2000兆円を超える個人金融資産を、企業の成長へとつなぎ、企業価値の向上がしっかり家計に還元されていく、こうした循環をつくっていく。新NISA(少額投資非課税制度)に加えて、iDeCo(個人型確定拠出年金)についても年末までに大胆な改革を実施してまいりたい」と経済界受けの政策を語った。
加えて、岸田総理は「官民連携が何よりも重要と考える。官が明確な方向性と複数年のコミットメントを示すことによって予見性の高い形で民の活動に対し呼び水を提供する。係る観点から、半導体や脱炭素を始め戦略的な国内投資、これまでの政策手法に捕らわれない新たな発想を大胆に取り入れ推進してきたが、今後もバイオ、宇宙、量子といった分野においても、こうした取組みを一層強化していきたい」と官民連携を強調した。(編集担当:森高龍二)