キヤノンの一部のレンズに搭載されている最新の手ぶれ補正機能「ハイブリッドIS」は、通常の手ブレ補正に加え、シフトブレも補正し、 シャッター速度換算で約4段分の補正効果があるという。(CP+2013キヤノンブースにて撮影)
コンパクトデジタルカメラやスマートフォンの普及により、写真を撮るという行為が以前に比べてごく日常的になったが、最近では、より正確に、より簡単に撮影できるよう、デジタルカメラの機能は劇的に進化している。その中でも今やカメラやレンズを選ぶ上での大きな判断基準となっているのが手ぶれ補正機能だ。カメラメーカー各社が次々に発表するボディやレンズには、各メーカーが独自に開発した最新手ぶれ補正技術が埋め込まれている。
オリンパス<7733>の人気のミラーレス一眼「OM-D E-M5」には、世界初のセンサーシフト方式による5軸対応メカニカル手ぶれ補正機能が搭載されている。一般的な2軸(X軸、Y軸)に対しての角度ぶれ補正に加え、XY軸の並進方向とZ軸(光軸)回転方向のぶれ補正を追加し、センサーを回転させて補正することによりあらゆる種類のブレに対応できるという。さらに、MSC(Movie & Still Compatible)ISという機能により、歩行や呼吸により生じる、非常に検知の難しい低周波ぶれを補正し、動画撮影における確実性をも高めている。これらの機能は、先日の「CP+2013」でも展示された「OLYMPUS PEN E-P3後継機」や、同社のコンパクトデジタルカメラ「STYLUS」シリーズの新機種など、下位モデルにも搭載されている。
オリンパスやソニー<6758>などは、ボディ内に手ぶれ補正機能を搭載しているが、レンズ交換式カメラに強いキヤノン<7751>は、レンズ側で手ぶれを補正する方式をとっている。同社が昨年発売した標準ズームレンズ「EF24-70mm F4L IS USM」では、手ブレ補正に加え、シフトブレも補正するハイブリッドISを搭載している。この機能は、同社の人気マクロ単焦点レンズ「EF100mm F2.8L マクロ IS USM」に搭載されており、ユーザーから高い評価を得ていた機能で、角度ブレの検出する振動ジャイロ(角速度センサー)に加え、加速度センサーも採用しているところが大きな特徴だ。2つのセンサーが捉えたカメラの動きをもとに、新開発のアルゴリズムが撮像面におけるブレ量を算出することで角度ブレとシフトブレを同時に補正することができる。この機能により、三脚を使わなくても、手持ちでブレのないシャープな写真を撮ることができるため、花や料理など接写撮影の際には大きな効果を発揮してくれるのだ。
一昔前は写真を撮るとなると、露出やピント合わせなど、ある程度の技術と知識が必要であったが、現在はデジタル技術のおかげで、自動露出やオートフォーカスといった機能も進化し、誰でも日常や思い出を日記がわりに美しい写真で記録することができるようになった。さらに、手ぶれ補正機能がより進化することにより、撮影における失敗写真が減り、撮影スタイルや表現方法にも新しい可能性をもたらすことで、カメラという道具がより身近な表現手段となっていくかもしれない。(編集担当:北尾準)