ロームは業界トップ級の低オン抵抗実現の高耐圧パワーMOSFETを開発。縦型p層を一気に形成するSi深堀エッチング技術を採用し、微細化及び不純物濃度の最適化を進めることで、従来製品に比べオン抵抗を約47%低減することに成功している。
再生可能エネルギーの代表として拡大を続ける太陽光発電市場。2010年度の同市場(エンドユーザー販売金額ベース)は前年度比69.9%増の6553億円、2009年11月から開始された余剰電力の固定価格買取制度が追い風となり、2年連続で大幅に増加している(矢野経済研究所調べ)。また、そのパワーコンディショナー(モジュールなどが発電した電気を変換する機器)においては、電力変換効率の改善による省電力化が進むなか、より低損失を実現するパワーMOSFETへの要求が高まっていた。
そのような中、半導体メーカーのロームは、太陽光発電のパワーコンディショナー向けに業界トップクラスの低オン抵抗を実現した高耐圧パワーMOSFET「R5050DNZ0C9」を開発した。
同社でもこれまで、多層エピタキシャル成長方式を用い、縦型のpn接合を複数並べるスーパージャンクション構造のパワーMOSFETを提供し高効率化に貢献してきたが、この方式は製造工程が複雑であるため、微細化や生産性の向上が困難という課題があった。今回、縦型p層を一気に形成するSi深堀エッチング技術を採用し、微細化及び不純物濃度の最適化を進めることで、従来製品に比べ、オン抵抗を約47%低減することに成功。低オン抵抗が反映されやすいコンバータ部分に最適であるほか、ローム製ファストリカバリダイオードや、SiCショットキーバリアダイオードなどと組み合わせれば、インバータへも適用可能だという。電力変換時の損失を大幅に低減できるため、太陽光発電の効率向上に大きく貢献できる。
同製品は、放熱性の高いTO247PLUSパッケージを採用し、9月中旬よりサンプル出荷(サンプル価格:1000円/個)を開始。2011年12月には量産を開始する予定となっている。今後も同社は、独自の先端プロセス加工技術をフルに活かし、ユーザーニーズを先取りしたトランジスタ製品の開発に力を注いでいく方針だ。