トヨタ自動車、ソフトバンク、デンソー、NTTなど大手8社出資で設立した半導体企業「ラピダス」(本社・東京、資本金73億円)に1兆円を超える国費を投入する政府・自民党。
これだけの国費を営利企業1社に投じるくらいなら、前年比2倍近い価格になっている「コメ」をはじめ、野菜高騰で暮らしに不安を抱える低所得層への生活支援へ、国保料(税)見直しや消費税減税などの大胆な政策をとるべきだろう。
まず国民健康保険料の在り方。国民の4人に1人が加入する健康保険だが、低所得層が多い。保険料軽減を図れば、そこで生まれる「可処分所得」は直接、消費につながる可能性が極めて高い。
可処分所得が普段から少ないため、買いたいものを我慢せざるを得ない状況に置かれているので、ゆとりが生まれれば消費につながる。特に高齢者が多い地方では経済効果がてき面と思われる。
国保加入者は自営業者とその家族、定年退職後の高齢者や無職の人たちと学生。赤旗が2019年2月3日の日曜版で「高すぎる保険料」と国保料問題を取り上げている。1991年当時、加入世帯の平均所得は「276万5000円」だった。そもそも、この額も低いが、2016年では「138万8000円」と2分の1に激減。最近は100万円未満が加入世帯の52%を占める。500万円以上は全体の4%に過ぎない。
一方で保険料負担は増え続けている。1990年度の1人当たりの国保料(税)は「年間6万2000円」だったが、2020年度では「9万6000円」と1.5倍になっている。また赤旗日曜版が2024年2月18日号で伝えたところでは、国民年金保険料も1990年度「月8400円」だったが、2020年度では「1万6540円」と2倍になっていた。
サラリーマンが加入する「協会けんぽ」などは所得に応じ保険料が決められ、かつ、事業者と折半での負担。一方、国保は「所得」以外に、均等割・平等割が加わる積上げ計算で負担額が設定されている。所得が低い世帯で一定条件を満たせば「均等割」と「平等割」は最大7割まで軽減される措置はあるものの、それでも3割負担となる。所得のみで計算し、均等割や平等割は廃止を含め見直すことが必要だろう。これにより保険料負担がかなり軽減される。
次に消費税。日本共産党の田村とも子委員長は2月21日の衆院予算委員会で「消費税が低所得者だけでなく中間所得層も含めて重い負担になっている」と勤労者世帯の年収別税負担率を算出した結果をグラフで示して指摘した。
それによると年収900万円以下の世帯までは「所得税より消費税負担が重くなっている」。年収200万円世帯では所得税は年1万2000円だが、消費税は12万6000円にもなると指摘。「税負担の中で消費税負担が最も重い」ことを明らかにした。
田村氏は「超富裕層への応能負担を徹底すれば消費税5%減税が十分にできる」と総理に迫った。しかし超富裕層は自民党の支持基盤になっていることを考えれば、所得税率や金融所得税率の見直しは自民政権では石破内閣でもなかなか進められないのではないか。
経団連の期待通り、家庭に眠るタンス預金は証券など投資に向けて誘導する策が岸田政権時代から、より顕著になっている。とはいえ、高騰する諸物価をみれば、食料品だけでも消費税を「5%」にする政策がとられても良いのではないか。消費税減税の恩恵は「広く・公平に」もたらされる政策といえよう。社会保障の安定財源などと「神聖化」してはいけない。メスをいれるべきだ。(編集担当:森高龍二)