実質賃金3カ月連続プラス 33年ぶり高水準の賃上げ続く

2026年05月08日 09:00

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026年5月8日、厚生労働省が3月の毎月勤労統計調査(速報)を公表。実質賃金(現金給与総額ベース)は3カ月連続のプラスとなり、所定内給与は約33年ぶりという歴史的な伸びを示しました

今回のニュースのポイント

厚生労働省が8日発表した3月の毎月勤労統計速報によると、実質賃金(現金給与総額ベース)は前年同月比1.0%増と3カ月連続のプラスとなりました。基本給にあたる所定内給与は3.2%増と約33年ぶりの高い伸びを記録し、賃上げが着実に浸透しています。一方、物価高や負担増も続いており、消費者の間では生活実感との乖離が課題として意識され始めています。

本文

 厚生労働省が5月8日に公表した「毎月勤労統計調査(2026年3月分結果速報)」によると、労働者1人あたりの現金給与総額は前年同月比2.7%増の31万7,254円となりました。これは51カ月連続のプラスであり、名目賃金の上昇トレンドが、ここ数年で確実に定着しつつあることを示しています。

 特筆すべきは、基本給にあたる「所定内給与」の伸びです。前年同月比3.2%増(271,313円)となり、33年5カ月ぶりに3カ月連続で3%の大台を突破しました。この背景には、人手不足に伴う採用競争の激化や春闘でのベースアップが、現場の賃金を押し上げている実態があります。

 物価の変動を反映した「実質賃金(現金給与総額ベース)」も前年同月比1.0%増と、3カ月連続のプラスを記録しています。物価(消費者物価指数・総合)の伸びがおおむね1%台半ば(1.5%上昇)にとどまる中で、賃金上昇が実質的な購買力に追いつき始めている可能性を示す内容となりました。

 しかし、こうした数字上の好転とは裏腹に、消費者の間では「生活が楽になった実感がない」という声も根強く聞かれます。その背景には、食品や日用品の相次ぐ値上げ、電気・ガス代といった光熱費の負担に加え、社会保険料や税負担の増加による「可処分所得」の伸び悩みがあります。住宅コストや教育費といった固定費負担も重く、実質賃金がようやくプラス圏で安定し始めたとはいえ、長年のデフレ期からの「戻り」の過程にあるとの見方が一般的です。

 企業側にとっても、この賃上げは決して容易なものではありません。特に中小企業では、人手不足を背景に「人材流出を防ぐための防衛的な賃上げ」に追われるケースも多く、コスト増を十分に価格転嫁できないことによる“賃上げ疲れ”を懸念する声も出始めています。

 賃上げそのものは着実に進み始めていますが、“生活改善の実感”まで届くには、物価や社会保障負担とのバランスが依然として大きな課題となっています。

 日本経済において、賃金と物価の関係に変化の兆しが見られる内容となりました。この賃上げの流れを一時的な現象で終わらせず、賃上げと消費拡大の循環に繋げられるかどうかが、次なる焦点となりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)