2025年9月,ランサムウェアによるサイバー攻撃でシステム障害に陥り、一時商品の出荷がストップした。国内グループ各社の受注と出荷業務、コールセンター業務が停止。さらに、個人情報流出の可能性があることも判明した。その影響でアサヒグループHDの混乱が後を引いているようだ。
アサヒグループの酒類の国内の売上のうち53%がビールだが、このうち半分以上を看板商品のビール「スーパードライ」が占める。そのアサヒが10月、障害を手作業でカバーし、ビールやチューハイなどのRTD、ノンアルコール飲料などを含めた売上金額は、概算で前年同月比約1割減にとどめることが出来たという。
この数字について同社は「手作業でなんとか出荷できた商品に関して、多くの注文をいただいた結果」だとしている。まずはスーパードライの出荷をいち早く再開し、その後、各カテゴリーの主力商品を順次出荷していくことで、フォローできたとしている。
アサヒへのサイバー攻撃の影響は業界全体に拡大している。アサヒ商品の出荷が停止した直後、アサヒビールの代わりを求めて、料飲店などから他社のビールに注文が殺到した。アサヒ以外のビール各社は、急増した注文に対し、主力の商品に生産を絞ったり、新規の顧客への出荷を制限する「出荷調整」を行なった。
加えて各社は、ビール類の安定供給をはかるため、予定していた一部のお歳暮用の詰め合わせ商品の販売を休止するなど、需給への対応に追われている。
いち早く発表したキリンビールは、お歳暮ギフトセットの販売を12月1日に停止すると10月19日に発表した。キリンによると、「想定を上回る注文が入り、安定供給が困難なため」と説明している。
サッポロビールも21日、歳暮用ビールのギフトについて北海道向けを除く全商品の販売を中止すると発表した。「アサヒグループHDでシステム障害が9月末から続き、受注が大幅に膨らんで安定供給が困難になったため」だとしている。
大手小売店でのギフト商戦に影響を与える“ビール大手の市場からの撤退”で、お歳暮商戦に如何なる変化が起きるのだろうか?(編集担当:吉田恒)













