先日、現職の米大統領として初めてオバマ大統領が訪問し、民主化運動の指導者アウン・サン・スー・チー氏と会談したことで一躍注目を集めたミャンマー。このミャンマーは現在、長年続いた欧米による経済制裁が緩和されたことで投資環境が整い始めており、生産拠点としてだけではなく、人口約6200万人を擁する新たな市場としても今後の急成長が期待されている。こうした中、帝国データバンクが、2012年10月31日時点でミャンマー進出が判明している日本企業を抽出し、社数推移、業種別、年商規模別などに分析した結果を発表した。
欧米諸国の対ミャンマー経済制裁下でも、日本からの投資は他国に比べると多く、ジェトロのデータによると、大型水力発電所や原油・天然ガスパイプラインの建設などの投資が続いたことで2010年度の投資は前年度の約2.3倍に達している。帝国データバンクの調査によると、この2010年にミャンマーに進出していた日本企業は52社であった。しかし、2012年10月31日時点では91社となっており、2年前と比べて75.0%の大幅増加、約1.8倍の急増となっている。なお業種別では「卸売業」が34社(37.4%)でトップとなっており、鉄鋼・同加工品卸の岡谷鋼機や、各種商品卸の兼松などが進出している。また、「運輸・通信業」(10社)は2年前に比べて3.3倍に増加。年商規模別では「1000億円以上」が22社(25.6%)でトップであるが、小規模企業の進出も見られるという。ミャンマーにて新政権が誕生してから一年半程であるから、新政権となって以降は情勢や政治が安定しており、市場への期待度が高まっていることを裏付ける数字といえるのではないだろうか。
天然ガスやレアアースなど豊富な資源を有している上に、未開拓な市場であることは、先進国にとっては非常に魅力的なものである。軍事政権下のミャンマーは、中国が最大の貿易相手国であったことなどから、現在でも、切っても切れない関係にある。しかし新政権となって以降は、中国の過剰依存を警戒し「距離感」も意識し始めているというから、今が投資の最大の好機といえるかもしれない。ミャンマーを走る自動車の90%が日本車であるというから、ミャンマーには日本企業を受け入れる土壌があると言えるであろう。インドやタイと隣接している地理的優位性もあり、ポスト中国として今後最も注目を集める地域となるのかもしれない。