財務省、AI過熱と中東情勢に警戒感 世界経済リスクを整理、供給網混乱にも言及

2026年06月11日 05:59

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財務省は関税・外国為替等審議会で公表した資料で、AI関連投資への過度な楽観論や中東情勢の緊迫化、レアアース供給網など世界経済を巡る複合的な下方リスクを整理しました。

今回のニュースのポイント

財務省国際局は2026年6月10日の関税・外国為替等審議会外国為替等分科会において、「最近の国際金融情勢について」と題する配布資料を公表しました。この中で、国際通貨基金(IMF)の最新見通しに基づき、AI関連投資への過度な楽観論に伴う市場調整リスクや、長期化する中東情勢の緊迫化によるエネルギー・サプライチェーンの混乱など、世界経済の下振れを招きかねない複合的なリスク要因を整理・分析しています。

本文
 財務省が審議会に提出した国際金融情勢の分析資料によると、世界経済は一定の政策支援などを背景に小幅な下方修正にとどまる「参照見通し」を基本線としつつも、実態としては不確実性が急速に高まっているとの認識が示されました。足元のマクロ経済は成長を維持しているものの、低所得の商品輸入国がエネルギーや食料価格の上昇、為替減価による深刻な打撃を受けるなど、金融市場と実体経済の双方に複数の深刻な下方リスクが潜在していると整理されています。

 下方リスクのなかで電子・情報産業の観点から新たに警戒されているのが、AI関連投資への過度な楽観論に伴う市場調整リスクです。資料では、仮に将来的な収益期待が過大であったと判明した場合、テクノロジー分野への実質投資が急減し、株式市場の脆弱性が顕在化して株価調整を引き起こす可能性が指摘されました。これが引き金となり、資産効果の減少を通じて民間消費の成長を世界規模で減速させ、実体経済へ悪影響を及ぼすという負の波及シナリオが紹介されています。

 同時に、中東情勢の緊迫化はエネルギー価格の持続的な高騰を招く最大の物価・供給リスクとして位置づけられています。財務省資料でも原油価格の変動リスクに加え、肥料市場の混乱に伴う食料インフレやサプライチェーンの寸断が世界経済の下振れ要因になると整理されました。中東での紛争激化は単なる局所的な物価要因にとどまらず、世界的なインフレ圧力や金融市場の変動を通じて実体経済へ波及する構造リスクとして厳しく警戒されています。

 さらに経済安全保障の観点から重要課題に挙げられたのが、レアアース(REE)等の重要投入財に対する非関税措置や輸出規制に伴う供給網リスクです。IMFは、REE(レアアース)の供給が80%継続的に減少し、代替品への移行がほとんど進まない最悪シナリオを分析しました。その場合、日本の国内総生産(GDP)には1.75%の下押し圧力が生じると試算しています。これは米国の1.5%やドイツの1.2%を上回る影響度であり、日本が不当な輸出制限の回避やサプライチェーンのデリスキング強化に主体的に取り組む必要性が浮き彫りとなっています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)