今回のニュースのポイント
ニッパツ(日本発条)の2026年3月期決算は、売上高が前期比1.9%増の8,168億円と過去最高圏を維持した一方、営業利益は12.2%減の457億円となりました。自動車事業が減産等で苦戦する中、AI需要拡大に伴うデータセンター向け高容量HDD用サスペンション(DDS事業)が売上高1,267億円と2桁増収を記録。旧来の「ばね」からAI・データインフラを支える企業への構造転換が鮮明です。
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ニッパツ(日本発条)が発表した2026年3月期決算は、売上高が816,879百万円(前期比1.9%増)と増収を確保した一方で、営業利益は45,784百万円(同12.2%減)と、増収減益での着地となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、固定費の増加や9,835百万円にのぼる減損損失の計上もあり、27,862百万円(同42.2%減)にとどまりました。
しかし、詳細な事業動向を見ると、同社の収益構造の変化が鮮明になっています。HDD(ハードディスクドライブ)用サスペンションを主軸とする「DDS事業」は、データセンター向け高容量HDDの増加を背景に売上高126,753百万円(前期比13.7%増)と2桁の伸びを見せました。一方で、新拠点を含む固定費の増加などにより、営業利益は26,058百万円(同2.3%減)と増収減益となりました。決算短信では、HDD世界生産台数の増加やデータセンター向け高容量HDD需要の拡大を背景に、サスペンション需要が増加したと説明しています。AI関連投資の拡大が、こうしたデータインフラ需要を押し上げている形です。
また、半導体プロセス部品などを手掛ける「産業機器ほか事業」は、売上高が124,535百万円(前期比8.1%増)と堅調に推移しました。ただし、今後の需要増を見据えた設備投資に伴う減価償却費の増加により、営業利益は7,294百万円(同23.3%減)と一時的な減益となりました。
現在、自動車関連(懸架ばね・シート)が売上全体の約56%を占める一方、精密部品・DDS・産業機器ほかといった情報通信・産業関連が44%を占めるまで比率を高めています。かつての「自動車ばねメーカー」から、AI・データインフラを支える複合サプライヤーへと、着実に軸足を移しています。
従来の柱である自動車事業は、国内やタイでの日系メーカーの減産、北米における車種構成の変化などが響き、シート事業の営業利益が8,052百万円(前期比28.3%減)と落ち込むなど厳しい局面を迎えました。しかし同社は、2027年3月期に向け、DDSや半導体関連を成長ドライバーとして、営業利益59,000百万円(前期比28.9%増)と強気の増益計画を掲げています。
AIブームの主役は演算を担う半導体に注目が集まりがちですが、それを影で支える日本の超精密部品もまた、AI時代の不可欠なピースとなりつつあります。ニッパツの歩みは、日本の製造業が、AIインフラを支えるサプライチェーン企業として再評価される動きの一例とも言えそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













