ローム決算、最終赤字1584億円 EV減速でSiC戦略見直し

2026年05月12日 16:46

ローム社屋

ロームの2026年3月期決算。最終赤字1,584億円。EV市場の成長鈍化を受けSiC関連で1,936億円の減損を計上

今回のニュースのポイント

ロームの2026年3月期決算は、営業利益が108億円の黒字へ回復したものの、EV市場の成長鈍化に伴うSiC関連設備の減損計上で1,584億円の最終赤字となりました。一方で、AIサーバーやデータセンター向けの需要は急拡大しており、成長ドライバーをEVからAI・インフラへ広げる方針です。東芝・三菱電機との事業統合協議も開始しており、国内パワー半導体再編の中核としての動きが注目されます。

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 ロームが12日に発表した2026年3月期決算は、売上高が前期比7.3%増の4,811億48百万円、営業損益は108億64百万円の黒字(前期は400億61百万円の赤字)に転換しました。しかし、BEV(電池式電気自動車)市場の成長予測下方修正に伴い、SiCパワーデバイスを含む半導体素子工場などの固定資産を中心に1,936億円の減損損失を計上。この結果、親会社株主に帰属する当期純損益は1,584億24百万円の赤字となりました。

 巨額減損の背景には、米国での補助金縮小や欧州での規制見直しによるEV普及ペースの鈍化があります。同社はBEV市場の中期的な成長率が従来予測を下回ると判断し、将来のキャッシュフローを見直して一括処理に踏み切りました。一方で、長期的には自動車の電動化・電装化傾向は継続し、SiCを中心とする電力半導体の必要性は拡大し続けるとの見解を維持しています。

 なお、当期から有形固定資産の減価償却方法を定率法から定額法へ変更したことで、減価償却費が171億25百万円減少しました。これにより営業利益・経常利益がそれぞれ約155億円押し上げられており、営業黒字化には会計方針変更による利益改善効果も含まれています。

 今後の成長エンジンとして期待されるのがAI・インフラ分野です。決算短信では、生成AIの普及に伴うデータセンター投資の拡大と、AIサーバー向けニーズの大幅増加を今後のドライバーに挙げています。自動車向けSiCに加え、サーバー向けLSIや半導体レーザー、電力インフラ向けパワーデバイスまでを網羅した「電力制御の総合メーカー」へのポジション取りを急いでいます。

 財務面では、有価証券の売却等により期末の現金及び現金同等物を4,287億14百万円まで積み増しており、一定の財務余力を維持しています。現在進行中の東芝・三菱電機との事業統合協議を含め、ロームが日本のパワー半導体再編の重要プレイヤーとなるか、AI・電力インフラ時代を勝ち抜けるかが焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)