富士フイルム決算、最高益更新 AI半導体材料と医療が成長牽引

2026年05月12日 19:18

今回のニュースのポイント

富士フイルムホールディングス(HD)の2026年3月期決算は、売上高3兆3,569億円、営業利益3,502億円と過去最高を更新しました。成長を牽引したのは、営業利益が34.4%増と急伸したエレクトロニクス部門と、チェキが絶好調なイメージング部門です。今後の柱であるヘルスケア部門はバイオCDMO等の伸長で売上高1兆円の大台を維持しましたが、大型設備投資が先行し一時的な減益となりました。

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 富士フイルムホールディングス(HD)が12日に発表した2026年3月期決算は、売上高3兆3,569億6,900万円(前期比5.0%増)、営業利益3,502億1,000万円(同6.1%増)、当社株主に帰属する当期純利益2,767億3,500万円(同6.0%増)となり、すべての項目で過去最高を更新しました。

 利益成長の主役となったのは、AI半導体需要を的確に取り込んだエレクトロニクス部門です。当部門の営業利益は1,009億円(同34.4%増)と急伸。微細化が進む前工程での先端レジストやCMPスラリー、後工程の高集積化に不可欠な層間絶縁膜用の液状ポリイミドなどが大きく販売を伸ばしました。2026年2月には次世代半導体の国産化を目指すRapidusへ50億円を出資しており、素材技術を通じた先端半導体インフラへの関与を一段と強めています。

 ヘルスケア部門は、売上高1兆989億円(前期比4.9%増)と3年連続で1兆円を突破しました。バイオCDMO事業ではデンマーク拠点の大型設備がフル稼働したほか、米国ノースカロライナ州の新工場も稼働を開始。一方、これら北米・欧州での大型設備投資や研究開発費が先行した結果、部門営業利益は636億円(同20.3%減)と一時的に押し下げられました。

 また、「チェキ(instax)」を中心とするイメージング部門も、売上高6,271億円(同15.7%増)、営業利益1,600億円(同14.9%増)と極めて高い収益性を維持しています。スマホ時代に敢えて「アナログな体験」を提供する戦略が若年層の支持を集め、累計販売1億台を突破した本体に加え、フィルムの増産投資も加速させています。

 一方、ビジネスイノベーション部門は複合機や印刷機器の市況悪化により売上高1兆1,748億円(同2.0%減)、営業利益637億円(同14.6%減)となりましたが、業務DX支援への変革を急いでいます。クラウド型サービス「FUJIFILM IWpro」へのAIチャット機能搭載や、マルチコピー機での「Microsoft Copilot」活用によるプリント支援機能の開発など、ITソリューション領域の拡大を図っています。

 2026年3月期の営業活動によるキャッシュ・フローは4,106億円の収入となった一方、有形固定資産への投資等により投資キャッシュ・フローは5,546億円の支出となり、フリー・キャッシュ・フローは▲1,440億円でした。これは長期成長を見据えたバイオCDMOや半導体材料等への積極的な先行投資によるものです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)