旭化成決算、営業利益2312億円 高機能材シフトと石化再編進む

2026年05月12日 19:03

今回のニュースのポイント

旭化成の2026年3月期決算は、医薬事業の利益成長や「へーベルハウス」等の住宅事業が寄与し、営業利益が前年比9.1%増の2312億円となりました。一方で、石化事業などのマテリアル領域は減益。同社は汎用品の生産終了や事業譲渡を通じた低収益事業の整理を鮮明にする一方、AIサーバー向けの高性能材料や次世代医薬への投資を強化しており、総合化学メーカーからの脱皮を急いでいます。

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 株式会社旭化成が12日に発表した2026年3月期決算は、売上高3兆745億500万円(前期比1.2%増)、営業利益2,312億円(同9.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,587億93百万円(同17.6%増)と、増収増益となりました。

 好調を支えたのはヘルスケアと住宅の両セグメントです。ヘルスケアセグメントは、医薬事業での主力製品の販売増や、スウェーデンの製薬会社買収による腎疾患治療薬「タルペヨ」の新規連結効果等により、営業利益が前期比194億円増の835億円に達しました。住宅事業も、へーベルハウスをはじめとする建築請負での物件大型化・高付加価値化による平均単価の上昇や、不動産開発・賃貸管理・建材事業の堅調さが寄与し、営業利益998億円(前期比39億円増)と収益柱としての存在感を示しました。

 一方、マテリアルセグメントは売上高1兆3,062億円(前期比4.6%減)、営業利益683億円(同14.5%減)と、減収減益となりました。エレクトロニクス事業はAIサーバーやハイエンドスマホ向けの需要で増益でしたが、エッセンシャルケミカル事業は水島製造所の大規模定期修理と市況悪化の影響を受けたほか、カーインテリアやパフォーマンスケミカル事業等でも販売量減少や価格下落により収益が圧迫されました。

 この苦戦に対し、同社はポートフォリオ再編を加速させています。当期は汎用石化・樹脂資産に関連する設備で108億49百万円の減損損失を計上したほか、鉛蓄電池用セパレータ事業等の譲渡に伴う費用を含め、特別損失の「事業構造改善費用」は合計478億89百万円に達しました。さらに、後発事象として2030年度を目途に水島製造所でのスチレンモノマー等の汎用品生産終了と、アクリロニトリル等の再編方針も公表。石化・基礎樹脂から高付加価値材へ軸足を移す構造転換を中長期的に推進しています。

 成長の鍵となるエレクトロニクス事業では、AIサーバー向けの感光性樹脂「パイメル」やガラスクロス等の電子材料が主力となっており、来期もAI用途を中心に販売増加を見込んでいます。

 「汎用品からAI・医療・高機能材へ」。今回の決算は、旭化成が単なる素材供給者から、高付加価値材料や医療分野へ軸足を移す構造転換の過程を象徴するものとなりました。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)