今回のニュースのポイント
日本銀行が16日に公表した「生活意識に関するアンケート調査(2026年6月調査)」では、「生活にゆとりがなくなった」と感じる人が55.0%に達し、前回調査から増加しました。景況感や収入の実感もそろって悪化する一方、物価は「上がった」と感じる人が9割を超え、家計への負担感が依然として強いことが浮き彫りとなっています。株価や企業業績が注目される一方で、生活者は「自分や家族の収入」を基準に景気を判断しており、日本経済を巡るマクロ指標と生活者の実感との温度差が改めて示されました。
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今回の調査では、現在の暮らし向きについて「ゆとりがなくなってきた」と答えた人が55.0%に上りました。一方で「ゆとりが出てきた」とする回答はわずか4.8%に留まっており、暮らし向きの実感を数値化した暮らし向きDIは前回から悪化しています。さらに景況感についても、1年前と比べて景気が「悪くなった」と答えた人が62.5%(前回41.2%)へと急増しました。先行きの1年後に関しても「悪くなる」との回答が49.9%(前回32.8%)を占め、現在・1年後の双方において景況感DIが落ち込んでおり、生活実感と景気認識のいずれでも慎重な見方が広がっています。
人々が景気を判断する際の根拠として最も多く挙げられたのが、「自分や家族の収入の状況から」の51.1%でした。この数字は「マスコミ報道を通じて」の31.7%や、「景気関連指標、経済統計をみて」の13.3%を大きく上回っています。多くの生活者が、ニュースや間接的な情報ではなく、自分や家族の家計の実感に基づいて景気を捉えていることがうかがえます。一方、世帯収入の実績において「増えた」とした回答は16.3%(前回18.6%)へと減少しており、1年後の収入見通しにおけるDIも悪化しています。マクロ経済の回復が語られる局面であっても、その実感が個々の家計まで十分に届いていない実情がうかがえます。
生活者の心理に影響を与え続けているのは、長期化するインフレです。今回の調査でも、実に95.3%の人が「物価は上がった」と回答しました。生活者が体感している物価上昇率の中央値は10.0%に達しています。さらに、今後1年間についても「物価が上がる」と予想する人は90.4%と約9割を占めており、物価上昇が「終わった話」ではなく先行きも続くものとして警戒されています。現在の物価高に対しては86.2%が「どちらかと言えば、困ったことだ」と回答しており、日々の暮らしを守るための防衛意識はきわめて強いまま維持されています。
こうした中で、生活者の消費行動にも変化が表れています。今後1年間に商品やサービスを選ぶ際に重視する項目を尋ねたところ、「価格が安い」が59.2%で最も多く、「安全性が高い」の45.9%、「長く使える」の43.5%がこれに続きました。単に目の前の安価なものだけに飛びつくのではなく、品質が保たれており長期的に使えるというコストパフォーマンスを重視する傾向もうかがえます。また、今後の支出について考える上で特に重視することとして「今後の物価の動向」を挙げた人が71.8%にのぼり、インフレへの強い懸念が常に家計管理の中心に置かれています。
企業業績の改善や株価の推移といった華やかな経済トピックが連日取り沙汰されていますが、それが各家庭の収入や生活実感として反映されなければ、真の意味での景気回復が広く実感されることはありません。今回の日銀アンケートは、日本経済を評価する尺度が、GDPや経済指標といったマクロの数値だけではなく、「日々の暮らしを営む当事者の実感」にもあることを改めて示しています。実施されている賃上げの流れや各種の物価対策が、一部の大企業に留まらず実際の家計のゆとりとしてどれほど波及するかが、今後の景況感を大きく改善させるための最大の焦点となるでしょう。
日銀の「生活意識に関するアンケート調査」は、物価高の長期化を背景に、景況感や収入実感、暮らし向きがそろって悪化している現状を映し出しました。一方で、人々は景気をGDPや株価などの経済指標ではなく、自分や家族の収入や日々の生活から判断していることも明らかになりました。経済政策の効果が数字だけでなく生活実感として広がるかどうかが、今後の日本経済を考える上で重要な視点となりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













