今回のニュースのポイント
国旗損壊罪を新設する「国旗の損壊等の処罰に関する法律案」が16日、参議院内閣委員会で賛成多数により可決されました。法案には自由民主党、日本維新の会、国民民主党、参政党が賛成し、今国会で成立する見通しとなりました。法案は、人に著しい不快感や嫌悪感を抱かせる方法で公然と国旗を損壊・除去・汚損する行為を処罰対象とする一方、憲法が保障する表現の自由などの権利を不当に侵害しないよう留意する旨も盛り込まれています。成立が目前となったことで、今後は制度そのものよりも、実際の運用や適用範囲が焦点となります。
本文
16日、参議院内閣委員会において「国旗の損壊等の処罰に関する法律案」の採決が行われました。採決では、自由民主党、日本維新の会、国民民主党、参政党が賛成し、賛成多数で委員会可決となりました。委員会可決により、法案は成立へ向けて大きく前進しました。
新設される制度において、何が具体的な処罰対象となるのかという点は、本法案の最も根本的な骨組みです。条文では、公然と、人に著しく不快又は嫌悪の情を催させるような方法で、国旗を損壊し、除去し、又は汚損する行為が処罰対象として定められています。重要なのは、単に国旗を傷つけたというだけで直ちに処罰される制度ではない、という点にあります。これらの処罰基準に該当するかどうかの判断は、行為者の主観的な内心ではなく、行為の外形や周囲の客観的な事情を総合的に勘案して行われる制度設計となっています。
しかし、法案の審議では、表現の自由や思想・良心の自由との関係が一貫して論点となりました。これまでの専門家や参考人を交えた質疑においても、憲法上の権利への配慮が幾度となく問われています。これに対し、本法案には憲法が保障する国民の自由と権利を不当に侵害しないよう留意すべきであるという適用上の留意規定が、あらかじめ独立した条文として盛り込まれました。それでもなお、一部の有識者や司法関係者からは、「著しく不快」や「嫌悪」といった心理的な表現を含む基準が曖昧であり、政治的な抗議活動や政権批判の表現活動を萎縮させないための極めて慎重な運用が不可欠である、との注文が引き続き示されています。
法案の成立が秒読み段階に入った現在、社会的な関心は「法案が成立するかどうか」から「実際にどのように適用・運用されるのか」へと移りつつあります。法案提出者側の説明によれば、漫画、アニメ、ゲーム、映画といった創作物の表現活動をはじめ、報道機関の取材・報道活動、さらにはインターネットのソーシャルメディアで対象となる動画や画像を単にシェア・リポストする行為などは、原則として処罰の対象外と整理されています。また、おもちゃのデザインや日常的な意匠、絵画の一部といった社会通念上の有体物も適用は想定されていません。法案提出者側は、これらを原則として処罰対象外とする考えを示しています。ただし、最終的な判断は個別事案ごとに行われます。実際に起こる複雑な個別事例においてどこに境界線が引かれるのかは、今後の検察や警察による実務的な運用、ならびに裁判所による判例・司法判断の積み重ねによってのみ具体化されていくことになります。
本法案のさらなる特徴として、施行後の社会状況をモニタリングするための検証規定が盛り込まれている点が挙げられます。附則には、施行後3年を目途として、インターネット上における国旗の損壊・汚損動画の拡散や利用の状況、あるいは実際の発生件数などを勘案しながら、必要に応じて制度のあり方を再検討し見直しを行う旨が定められています。つまり、今国会での可決・成立が最終的なゴールではなく、実際の運用実態を踏まえながら社会状況の変化を踏まえて制度を見直すことを前提とした設計となっています。
国旗損壊罪法案は参議院内閣委員会で可決され、成立へ大きく前進しました。今回の採決では、自民党、日本維新の会、国民民主党、参政党が賛成し、制度化が現実味を帯びています。一方で、議論の焦点は法案成立の可否から、実際の運用へと移りつつあります。「著しく不快」「公然」といった要件がどのように解釈されるのか、また表現の自由との均衡がどのように図られるのか。今後は、具体的な適用事例や司法判断の積み重ねが、この制度の姿を形づくっていくことになりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













