金融市場ではすでに野田首相以上の要人とみなされている安倍晋三自民党総裁が日銀にプレッシャーをかける金融緩和発言を連発したため、為替は16日朝方、ドル円81円台前半、ユーロ円103円台後半に円安進行。大引け後に衆議院が解散し、政界は12月16日の総選挙投票日に向けて走り出した。
前日の株価の上げっぷりが派手だった反動、ユーロ圏GDPの2期連続マイナス、NYダウの28.57ドルの下げ、政府の月例経済報告の景気判断4ヵ月連続引き下げ、利益確定売りが多い金曜日など、安く始まってもおかしくない要素が多くあったが、「安倍発言効果」「円安効果」は抜群で、日経平均は始まって早々に前日比80円を超える上昇で8900円台を回復。さらに前場引け際には一時9000円を突破した。後場も勢いは衰えず終値は194.44円高の9024.16円で、9営業日ぶりの大台で今週の取引を終えた。海外機関投資家の先物買いが続き、一部投資家が円高を見越した輸出関連株の信用売りポジションを急いで解消したため現物の買い注文も膨らみ、東証1部売買代金は1兆5050億円と6割増だった前日のさらに2割増になった。NYや上海が株安でも、為替が午後少し円高に戻しても、人呼んで「安倍相場」は世界最強で向かうところ敵なし、だった。
前日に引き続き、建設、不動産などインフラ関連が買われ、銀行や証券が金融緩和期待で続伸し、自動車、電機、鉄鋼など輸出関連株は一段高になり、食品、小売などディフェンシブ系銘柄が売られるという流れだったが、値上がり銘柄が全体の72%に及び、時価総額の大きい主力株に買いが集まった。大和ハウス <1925> 、ダイキン <6367> 、富士重工 <7270> 、日野自動車 <7205> 、三井不動産 <8801> などが年初来高値更新。「電機株巨額最終赤字御三家」も、シャープ <6753> は11円高、パナソニック <6752> は26円高で、前日にCB発行を嫌気されて大きく下げたソニー <6758> も15円高だった。
今日の主役は、売買代金が517億円でランキングでトップだったトヨタ <7203> 。前日の155円高に続きこの日は110円高で、大型株が2日間で2500万株余り売買され、株価は8.66%上がった。特に買われる材料があったわけではないので、主力株が好んで買われる強い地合いを象徴していた。。