三大メガバンクの健全性には問題なし、か?

2012年11月19日 11:00

 三大メガバンク(三菱UFJFG <8306> 、みずほFG <8411> 、三井住友FG <8316> )の2012年度中間決算は、純利益の通期見通しが修正なし、あるいは上方修正で、財務の健全性を示す自己資本比率、不良債権比率にも大きな問題はなく、やや楽観できる内容になった。

 三菱UFJの経常収益は前年同期比11.7%減、経常利益は40.5%減、純利益は58.3%減だったが、通期業績見通しは経常利益1兆1100億円、純利益6700億円で変えていない。連結自己資本比率(第一基準)は3月末と比べて14.91%から14.30%に低下。三菱東京UFJ銀行+三菱UFJ信託銀行+信託勘定の不良債権残高(金融再生法開示基準)の3月末と比べた増減は689億円増で、それが総与信額に占める比率は1.87%(+0.09%)となっている。

 みずほFGの経常収益は前年同期比7.6%増、経常利益は11.4%増、純利益は27.6%減。通期業績見通しは純利益3.1%増の5000億円で変えていない。連結自己資本比率(第一基準)は3月末と比べて15.50%から15.45%に低下。不良債権残高(金融再生法開示基準)の3月末と比べた増減は149億円減で、それが総与信額に占める比率は2.04%(-0.02%)となっている。

 三井住友FGの経常収益は前年同期比1.1%増、経常利益は14.3%減、純利益は5.5%増。通期業績見通しは経常利益が11.3%減の8300億円で800億円の下方修正、純利益が4.1%増の5400億円で600億円の上方修正となっている。連結自己資本比率(第一基準)は3月末と比べて16.93%から17.63%に増加。不良債権残高(金融再生法開示基準)の3月末と比べた増減は1061億円減っており、それが総与信額に占める比率は2.48%(-0.11%)となっている。

 収益に影を落としたのは電力や電機など保有する日本株の株価下落による減損で、三大メガバンク合計で5338億円にのぼるが、大方は債券の売却益でカバーできている。下期は、国内の貸出は不調でも海外では資金需要を上期より多く取り込めると見込んでいる。

 メガバンクにとって2013年は、国際的に業務を展開する銀行に課される新しい資本規制「バーゼル3」の導入元年になる。これは各国の金融規制当局で構成されるバーゼル銀行監督委員会が従来の「BIS規制」に代わって定めたもので、現行の国際統一基準(第一基準)の自己資本比率とは集計方法が異なる「中核的自己資本(Tier1)」の比率を、実質7.0%以上にするように求められる。

 三大メガバンクの中間期連結のTier1比率は、三菱UFJが12.57%、みずほが12.68%、三井住友が13.18%で、全て7.0%を大きく上回っているが、一つ懸念材料がある。それは「亀井法」こと「中小企業金融円滑化法(モラトリアム法)」の期限が2013年3月末に迫っていること。地銀や信金に比べてメガバンクはリテール部門の中堅・中小企業向け融資の比率が小さく、その貸倒引当金も十分で影響は小さいと考えられがちだが、アメリカで個人向け住宅ローンのサブプライム危機が回り回って大手金融機関の経営を揺るがしたことは記憶に新しい。中小企業倒産の増加がメガバンクの自己資本に傷をつける可能性が、ないとは言い切れない。