博報堂が実施した40~60代のお金に関する意識についての調査及び分析結果において、退職金の使い道第3位に34.9%でランクインしたリフォーム・建替え。国土交通省が発表した「建築物リフォーム・リニューアル調査報告」の平成23年度下半期受注分においても、建築物のリフォーム・リニューアル工事の受注額は4兆2583億円と前年同期比1.9%増、うち、住宅に係る工事は1兆6408億円で同0.9%増となっている。また、発注者別のデータでも住宅に係る工事は個人からの受注高が伸長しており、前年同期比11.0%増となっている。こうした中、リフォーム・リニューアル需要をターゲットとした商品やサービスが増加。中でも地方におけるローンを巡る動向が活発化している。
岡山県を中心に「じぎん(地元の銀行)」を目指しているトマト銀行は、増改築やオール電化などのリフォームを検討中の顧客を対象に、11月1日から3月29日まで、トマト・リフォームローン1000「特別金利キャンペーン」を実施。キャンペーン期間中にローンを利用した場合、店頭表示金利から年1.9%引き下げた年2.4%(変動金利)のキャンペーン金利を適用するという。また、太陽光発電事業へ参入する法人・個人事業主向けに、むさしの太陽光発電事業支援融資「太陽の恵み」を取扱っている武蔵野銀行も、太陽光発電システムを導入する個人向けに、融資利率を標準金利から差し引いたリフォームローンの取り扱いを開始している。
さらに、ジャックスは、香川銀行と提携して無担保リフォームローンの保証業務を開始。保証業務の取扱いを開始したのは「香川リフォームローン(ハッピー家族)」および「香川リフォームローン(ハッピー家族)・エコ」の2商品で、無担保で最大1000万円までの融資が可能だという。融資期間も最長20年としており、低金利で省エネ化・耐震化・バリアフリー化などのリフォームニーズに応える商品となっている。
その他、オリエントコーポレーションと千葉興業銀行が提携し、リフォームローンを含む無担保個人向けローン新商品の保証業務を開始。三井住友フィナンシャルグループのセディナも、青森県庁消費生活協同組合(青森県庁生協)と提携して、青森県庁生協指定の工事施行会社で利用可能な「リフォームローン」の取扱を開始するなど、地方が中心となって市場拡大を後押ししている。
前出博報堂の調査・分析によると、本格的に団塊消費が始まりつつあるという。また、年代が上がるほど、普段の食事やこづかいにお金をかける傾向があり、最もお金をかけているのは引退した60代という結果も出ている。60代以上の人は、年金や雇用環境など、後の世代と比べて裕福な状況にあると言われる。この世代が積極的に全国で消費をすることが、日本全体の景気回復への端緒となるかもしれない。リフォームに関するものだけでなく、衣・食・住の幅広い分野に置いて、こうした消費への積極性を促す施策が広がることを期待したい。