7割の夫婦が「一人っ子なら女の子」のなぜ

2013年03月09日 12:12

 「子どもを1人もつなら女の子がいい」と考える夫婦は7割にのぼる。国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」によると、1980年代までは平均して男の子を好む割合が高くなっていた。1982年には男の子51.5%に対し、女の子48.5%。ところが1987年の調査から女の子を好む人が急増し、男の子37.1%、女の子62.9%に。それ以降、90年代は一貫して女の子が人気で、現在はおおむね7割前後の親が「一人っ子なら女の子」と考えている。

 実際には性別はどちらでもよく、元気に育ってくれればいいという親が大半だろう。だが女の子派が増えてきた背景には、子どもに求めるものが変化してきたことが伺える。

 昔であれば、親は男の子に一家の主(あるじ)としての役割と責任を期待する一方、女の子にはそこまで期待せず、責任を求めることもなかった。多くは他人の家へ嫁いで家事育児にいそしむことがゴールであり、実の親の面倒をみることまでは求められなかっただろう。だからこそ多くの女の子は教育にもそれほどお金をかけてもらえなかった。だが今は違う。女子の進学率は男子に並び、社会に出て活躍する女性も多くなった。

 結果として女の子の人生は、昔よりも肯定的に捉えられるようになった。統計数理研究所の「日本人の国民性調査」では1990年代以降、「今の日本で楽しみが多いのは男性より女性」と考える人が増える傾向にある。特に女性でその傾向が強く、70年代の4倍にもなっている。

 インターネット上の掲示板などでは「女の子は育てやすい」といった意見の他に、「女の子は話し相手になる」「老後の面倒を見てもらえそう」などの意見が目立つ。男の子に対する労働力や跡継ぎといった期待がなくなる一方で、女の子には精神的なケアを求めたいとの思惑が透けて見える。「友達親子」という言葉もあるが、生涯にわたって親のケアを期待される「女の子」たちもなかなか大変そうである。