免疫生物研究所<4570>とトランスジェニックとが、2012年6月20日に発表した合弁会社の設立を当面延期すると発表した。
2011年3月11 日に締結した包括的業務提携に基づき、研究開発活動において連携体制を相互に推進し、次世代の診断薬シーズとなるバイオマーカーの開発を積極的に実施していた両社。これら蓄積されたシーズに対し、実検体を用いた検証データを蓄積できる仕組みを構築することが研究開発活動の効率化・迅速化に繋がるとして、相互が有するシーズを活用すべく、新たに検体検査受託を専門に行う合弁会社を共同で設立すべく準備を進めていた。本合弁会社設立により、シーズ活用を中心とした特殊な臨床検査項目の拡充、及び研究開発の促進・拡充が期待されるとしていた。
しかし、現状、両社ともそれぞれの注力事業が順調に推移しており、今後も高い成長性が見込まれるという。その為、それぞれの注力事業に経営資源を投入することが優先との判断から、確定契約書の締結及び合弁会社設立を当面延期するに至ったとのこと。
免疫生物研究所の平成25年3月期第3四半期決算では、既存大型薬の特許切れによる影響などにより経営環境は継続して厳しい状況にあり、売上高は前年同期比10.1%減、営業損失も1845万4000円となっている。営業利益、経常利益ともに回復傾向にはあるようだが、注力事業が「順調」といえる状況にはない。トランスジェニックに関しても昨年よりは好調なものの、依然として営業損失、経常損失を計上している状況にある。確かに好調と言えなくもないが、今年度内に合弁会社を設立しようと進めていた事業を延期する程のものとは言えないであろう。シーズ活用を中心とした特殊な臨床検査項目の拡充、及び研究開発の促進・拡充などと聞こえのいい当初の目的はどこへいったのであろうか。合弁会社設立の予定もその延期も、どっか場当たり的な印象が拭えない両社の動きである。(編集担当:井畑学)