富士通セミコンダクターとSuVolta、技術ライセンスを契約

2011年06月07日 11:00

 富士通セミコンダクターは、米国SuVolta, Inc.の低消費電力CMOS技術であるPowerShrinkTMのライセンスを受けるとともに、65nmテクノロジーでの実用化に向け共同開発を開始する。

 同社はこの低消費電力CMOS技術を用いることで、IC電源電圧の低電圧化が可能となり、ICの動作速度を落とすことなく消費電力を約50%削減。また、この技術をASSP、ASICならびに、COT製品に適用し、最初に適用した製品の実用化を2012年後半に予定している。

 これまで同技術は低消費電力デバイス技術として広く使われており、微細化とともに電源電圧を低下させることで低消費電力化が行なわれてきた。しかし、90nmテクノロジー以降はトランジスタのしきい値ばらつきを低減できず、電源電圧を下げることが困難だったため、各社において回路設計上の工夫により低消費電力化を進めてきたという。

 今回、SuVoltaが開発した同技術では、トランジスタのしきい値ばらつきの大きな要因である不純物分布のゆらぎの影響を低減することにより、低電源電圧化を可能にし、CMOSデバイスそのものの低消費電力化を実現。トランジスタ特性を改善することで、電源電圧を30%下げることができ、動作速度を落とすことなく動作時消費電力を50%削減できるという。しかも、同技術は従来と同様なプレーナー型CMOS構造を用いるため、同社既存の製造インフラをそのまま利用することができ、開発するASSP、ASICならびに、COT製品において高い量産性が期待できるという。

 同社とSuVoltaは、65nm製品の開発パートナーであり、これまでの技術開発で、2社はしきい値ばらつきの顕著な低減や回路の機能動作を確認。今後は、同社の低消費電力デバイスにおける長年の経験を生かしながら、SuVoltaの先進的な技術コンセプトを加えて緊密に相互協力していく。