デンソー決算、ソフトと電動化へ加速 “車の頭脳化”で変わる部品大手

2026年05月11日 10:17

今回のニュースのポイント

デンソーの2026年3月期決算は、売上収益7兆5,400億円、営業利益5,525億円となりました。車両販売の増加や合理化努力により、売上収益と営業利益はいずれも過去最高を更新し、収益力の底上げが進んでいます。次期は中東情勢に伴う不確実性と将来成長に向けた投資強化を織り込み、5,000億円の営業利益を見込む計画です。

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 自動車部品国内最大手のデンソーが発表した2026年3月期連結決算(IFRS)によれば、売上収益は7兆5,399億7,500万円と、前期から約3,782億円増え5.3%の増収になりました。営業利益も5,525億3,800万円(同6.5%増)まで伸び、売上・利益ともに過去最高を更新しています。部材費の高騰や人への投資増加といったコスト増要因はありましたが、車両販売の増加に伴う操業度の良化や徹底した合理化努力がこれを上回りました。

 今回の決算で鮮明になったのは、かつてエンジン関連部品が収益の柱だった同社が、いまやソフトウェアや電動化を含む車載システム全体を担う存在へと軸足を移しつつある点です。車載ECUやセンサー、通信モジュールが高度化するなかで、車両全体をソフトウェアで統合制御する「車の頭脳」部分への比重を高めることが、同社の成長戦略の核心になりつつあります。

 地域別では、主要顧客であるトヨタグループの販売増や円安が追い風となり、北米の営業利益が前期比34.9%増の1,323億円、欧州が同221.3%増の278億円と大きく改善しました。トヨタグループ向けの売上収益は4兆1,346億円に達し、連結売上高の半分以上を占めています。SDV(ソフトウェア定義車両)の開発においても、トヨタとの強固な協力関係は同社の最大の武器となっています。

 一方で、今後の課題も浮き彫りになっています。世界的なBEV(電気自動車)需要の鈍化や、価格競争力を武器とする中国メーカーの台頭など、外部環境の不確実性は一段と高まっています。2027年3月期の通期予想について、同社は前提為替を円安に置きつつも、中東情勢に伴う不確実性の高まりと将来成長に向けた投資強化を織り込み、営業利益は5,000億円とあえて前期比9.5%減の計画としています。

 自動車産業の主戦場がハードウェアから“車の頭脳”を巡るソフトウェア競争へと移るなか、デンソーは自らを変革し続けています。日本のモノづくりの象徴とも言える同社の決算は、エンジン時代の終焉と、AI・データが主導する新たなモビリティ社会の幕開けを予感させる内容となりました。 (編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)