旭硝子は31日、インドネシアを中心としたアジア地域における苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)および塩素誘導品(塩ビ中間原料の二塩化エチレン、塩ビモノマー、塩ビ樹脂など)の需要拡大に対応するため、インドネシアの電解(苛性ソーダ・塩素を生産する塩水の電気分解)設備能力を30%増強することを発表した。同社子会社でインドネシア・ジャカルタにあるアサヒマス・ケミカル社に約50億円を投じて生産設備を増設し、2013年第1四半期に生産を開始する予定だという。
苛性ソーダは、レーヨン、石鹸や洗剤、調味料、紙やパルプなどの製造のほか、基礎工業薬品としても幅広く使用されるアルカリ製品であり、経済成長に伴って需要が増加していく。インドネシアは、今後数年にわたってGDP6%超の成長を続けるとも見られている好調な経済を背景に、苛性ソーダの需要が年々拡大しており、2010年度には前年比プラス10%超の市場成長を記録。旭硝子は今後、年間需要が60万トンに迫ると見込んでいる。
旭硝子は、1989年よりアサヒマス・ケミカル社における電解生産をスタートしており、苛性ソーダ・塩素から塩ビ樹脂までを一貫して生産するクロール・アルカリの総合メーカーとして事業を展開している。現在、同社はインドネシアの苛性ソーダ市場で50%超のシェアを占めているが、今回の増設により生産能力を30%高めておよそ50万トン/年とし、市場の強いニーズに引き続き応えるという。さらに、苛性ソーダとともに増産される塩素も、二塩化エチレンの生産などに活用することで、インドネシアを中心としたアジア地域の旺盛な塩素誘導品の需要に対応することを図る。