有機ELパネルは、一般的に「蒸着成膜プロセス」によって製造されているが、面積が広く欠陥のない均一発光面を低コストで量産するには、「塗布成膜プロセス」の方が適している。中でも、特に重要な発光層を塗布プロセスで成膜することが強く求められていたが、これまで開発されたていたものには、発光効率が低く、寿命が短いという課題があった。そんな中、三菱化学とパイオニアは10日、発光層を塗布プロセスで成膜した有機EL素子で、世界最高水準の発光効率と寿命を達成したことを発表した。
三菱化学とその研究開発子会社である三菱化学科学技術研究センター、およびパイオニアは、2010年1月より塗布型発光材料を用いた照明用有機ELパネルの共同開発を進めてきた。その結果、三菱化学が開発した独自の塗布型発光材料を用い、三菱化学とパイオニアが共同で素子設計と塗布成膜プロセスを最適化することによって、白色輝度1,000cd(カンデラ)/m2における発光効率が52lm(ルーメン)/W(ワット)、かつ初期輝度1,000cd/m2における輝度半減寿命が2万時間と、世界最高レベルの高効率と長寿命を両立させることに成功。今回の開発の成功を受けて両社は、2014年までの本格事業化に向け、引き続き検討を行っていくという。