飲料自販機の夏季ピーク時電力のさらなる削減実施を発表

2011年04月18日 11:00

 (社)全国清涼飲料工業会は15日、東京電力管内の飲料自動販売機(以下飲料自販機)の夏季のピーク時電力の削減を実施すると発表した。

 現在、東京電力管内に設置されている会員社の飲料自販機は約87万台とされており、使用電力は最大約26万kWとなっている。これは今回の原子炉問題により東京電力が掲げた本年度電力供給目標である5,000万kWの0.5%に相当する数字だという。

 これまでも会員社においては7月から9月は通常でも最も電力消費の多い時間帯である13時から16時の間は冷却機能を停止し、その間の使用電力を1台あたり17w(消灯時の冷却運転時は299w)としていたが、このたびの電力需給の状況を鑑み、さらに10時から21時の間の25%の電力カットを実施する方針を固めた。使用電力を削減する具体的な方法については、現在、業界を挙げて検討中であるとし、近日中に公表する予定だ。

 また、各会員社も同工業会の取り組みに加えさらに独自の方法で節電することも発表している。日本のコカ・コーラシステムは使用電力削減を、自社の飲料自販機、オフィス、工場などで6月から実施すると発表した。なかでも飲料自販機については、既に実施している照明の24時間消灯や、ピークカット機能による13時から16時までの全台の冷却運転停止に加え、10時から21時までのピーク時間帯に、3つのグループに分けた自動販売機の冷却運転を輪番で停止。この施策により、10時から21時のピークタイムにおいては、どの時間帯においても必ずコカ・コーラシステムの自販機が常に3台に1台が冷却のためのコンプレッサー機能が停止している状態となる。これにより、取引先との緊密な連携を通じ33%の使用電力削減の達成が見込まれる。自動販売機の施策については、関東4ボトラー社(利根コカ・コーラボトリング、三国コカ・コーラボトリング、東京コカ・コーラボトリング、コカ・コーラセントラルジャパン)において、実施に向けた準備を来週から開始。なお、輪番による冷却運転の停止は6月上旬より順次開始し、9月末まで実施する予定だという。

 ダイドードリンコも、東京電力管内の約9万台の飲料自販機の夏季のピーク時電力の削減を実施すると発表した。同社は飲料自販機を設置している東京電力管内の取引先に対し、具体的な節電アクションを提案することで、ともに節電を実現するという。既に実施している照明の24時間消灯や、ピークカット機能による13時から16時までの全台の冷却運転停止に加え、10時から21時までのピーク時間帯に、冷却運転を輪番で停止。また、一部自販機においては、一部コラムの商品の販売を停止することにより、冷却運転にかかる消費電力のさらなる低減策を取引先の理解を得ながら進める方針だ。

 今回、さらなる電力削減という社会的要請に応えるために飲料自販機の節電の取り組みを実施するが、清涼飲料業界は、震災時のライフラインとしての飲料提供や、都内での東日本大震災時における帰宅困難時の飲料自販機の役割など、生活者にとってのかけがえのない機能を果たしているのも確かである。また、暗い夜道では飲料自販機は防犯灯の代替となっているとも考えられる。

 現在の状況を考慮すれば、飲料自販機の節電を推進することは確かに不可欠なことだろう。しかし、単純に「自動販売機の電源を切れば良い」という短絡的な考えでは、経済活動をさらに抑制しかねない。まずは、メーカーや設置店が協力し、知恵を出し合いながら節電に取り組んでいくことが、先決ではないだろうか。